東武東上線「中間車両のみの脱線」で深まる謎 台車に亀裂、枕木に残る傷が発見されたが…

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東武東上線で18日に起きた脱線事故で、2軸が脱輪した事故車両(提供:東武鉄道)

5月の青空の下、都内の住宅街を都心へと向かっていた電車は突然の衝撃と振動に見舞われ緊急停車した。東武鉄道東上線で18日に発生した脱線事故。幸い約400人の乗客にけが人はなく、夜通しの復旧作業の結果、翌19日朝からは通常運転が再開されたが、10両編成の中間1両だけがなぜ突然脱線したのかなど事故には謎が残り、原因究明へ向けた調査が続いている。

事故が起きたのは18日午後0時12分ごろ。東武東上線の中板橋~大山間を走行中の10両編成の普通電車のうち、前から5両目の後ろ寄りの台車の2軸が脱輪し、車体が右側に傾いた。事故後の調査で、線路の枕木に傷が見つかったほか、脱輪した台車には亀裂も発見された。

「ガタガタ揺れはじめて停まった」

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中板橋駅。電車の通過待ちができる2面4線の構造になっている(写真:ねっち / PIXTA)

脱線した電車は午前11時58分成増駅発の池袋行き普通電車。脱線する直前に停車した中板橋駅は線路が上下各2本ずつあり、電車の追い抜きができる「2面4線」の構造だが、この電車は4番線に入線した。

東武鉄道によると、同駅を出発した直後、時速約30㎞で走行中に、運転士が加速の悪さを感じると同時に車内の非常報知装置が鳴ったため、中板橋駅から約250mの地点で電車を停車させた。

現場は進行方向に向かって緩い右カーブで、乗客は取り外した座席をスロープ代わりにして電車から降り、中板橋駅へと徒歩で移動した。最後部車両に乗っていたジャーナリストの本田雅一さんによると、脱線した5両目に近い車両に乗っていた乗客は「ガタガタと電車が揺れ始めて(非常報知装置の)ブザーが鳴って停まった」と話していたという。

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