ベンツの新型オープン「SLC」に乗ってみた スタイリッシュな2人乗りが見せた存在感
SLKがデビューしたとき、ほぼ同時に市場に出てきたポルシェ・ボクスターと比較しがちだった。しかしSLCにはスポーツカーとは一線を画すエレガンスとコンフォートを大事にしてきたヘリティッジがある。そのキャラクターが継承されていると強く感じた。
SLCのラインナップにおける最もスポーティなモデル
ニースの山道で驚いたのは、新たに設定されたメルセデスAMGのSLC43だ。
新しくなったSLCのラインナップにおける最もスポーティなモデルは、メルセデスAMGのSLC43だ。このところ日本での販売はストップしていたが5.5リッターV8エンジンのSLK55の後継にあたるモデルといってよい。
「SLC43は3リッターV6ターボエンジンなので、パワー的に劣るのではないかとか心配する声をユーザーから聞きますが、スポーティさは増しているはずです」。ニースの試乗会場で出合ったSLKを初代から開発してきたエンジニアの男性は、そう胸を張って教えてくれた。「ノーズが軽くなったし、サスペンションの設定も見直したし、カーブを曲がるときの速度は明らかに速くなっています」。
はたしてニースの山道でSLC43を操縦してみると、開発者の言葉のとおりだと感じた。メルセデスAMGのプロダクトに共通の、バケットシートにからだを落ち着け、感触のいいステアリングホイールを握り、アクセルペダルを踏み込むと、驚くほどの加速を見せる。静止から時速100キロまで4.7秒しかかからないというデータも納得できる。ダイナミックセレクトで最もスポーティな「スポーツ+(プラス)」を選択したときの楽しさにも目をみなるものがある。
足まわりのしっかり感はSLC300より上。やや硬めである。そのぶんハンドリングはキレがよく、カーブを曲がるときの動きは、ごくわずかなステアリングホイールの操作でこなせるかんじだ。アクセルペダルのオンとオフに敏感に反応して加減速が行われるのも操縦していて楽しいし、ブレーキを踏めば強力な制動力が発揮される。SLC300はエレガンス寄りだとしたら、SLC43はスポーツカー寄りだ。でも核のには、スポーティさと快適性とを全長4.1メートルのコンパクトな車体とバランスさせたコンセプトが活かされているのだ。
日本での販売は2016年のどこかということで、正確な日程は未定だそう。価格もラインナップも未発表。エントリーモデルとして1.6リッターのSLC180も用意されていて、これも日本に導入されるかもしれないとのことだ。ニースとかモナコでは、このクルマ以上に高額なクルマも多いけれど、スタイリッシュな2人乗りロードスターとしての存在感は予想以上に大きかった。日本の都会でも同じではないだろうか。
(文:小川 フミオ)
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