三菱重工と日立の本気 火力事業を統合、相乗効果で世界へ挑む
三菱重工業と日立製作所は、2014年1月をメドに火力発電所のインフラ事業を統合することで基本合意した。
火力発電所は、心臓部に当たるガス・蒸気タービンをはじめ、ボイラー、発電機など複数の大型専用設備から構成される。国内企業では、三菱重工、日立、東芝が設備・装置一式を手掛ける御三家だ。2社は共同で新会社を設立し、こうした火力発電分野の開発、製造・販売、エンジニアリング機能を移管・集約する。
三菱重工にとって、発電インフラを含む原動機部門は全社営業利益の約8割を占め、その大半を稼ぎ出す大型ガスタービンなどの火力発電分野は文字どおりの基幹事業。新会社への出資比率は、対象事業の収益規模で勝る三菱重工が65%と過半を握る。
一方、日立は統合によって火力発電インフラ事業の主導権を渡すことになるが、「売却するわけじゃない。どうやったら世界で勝てるか。5年、10年先を考えての再編だ」と中西宏明社長。プライドよりも実利を取った格好だ。
震災後に国内市場が激変
交渉が始まったのは今年の7月。そこから基本合意までわずか4カ月。対象が中核事業であるにもかかわらず、異例ともいえる早さで統合に向けた協議は進んだ。両社の経営陣をそこまで駆り立てたのは、いったい、何だったのか──。