阿蘇山「カルデラ噴火」が、日本を壊滅させる 火砕流に覆われる領域で700万人が「瞬殺」

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巨大カルデラ噴火のハザードマップ

九州が焼き尽された後、中国・四国一帯では昼なお暗い空から大粒の火山灰が降り注ぐ。そして降灰域はどんどんと東へと広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へと達する。

大阪では火山灰の厚さは50センチを超え、その日が幸い雨天ではなかったとしても、木造家屋の半数近くは倒壊する。降雨時には火山灰の重量は約1.5倍にもなる。その場合は木造家屋はほぼ全壊である。

その後、首都圏でも20センチ、青森でも10センチもの火山灰が積もり、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止する。水道は取水口の目詰まりや沈殿池が機能しなくなることで給水不能となる。

現在日本の発電量の9割以上を占める火力発電では、燃焼時に大量の空気を必要とするが、空気取り入れ口に設置したフィルターが火山灰で目詰まりを起こすために、発電は不可能となる。これにより、1億2000万人、日本の総人口の95%が生活不能に陥ってしまう。

同時に国内のほぼすべての交通網はストップする。5センチの降灰により、スリップするため、道路は走行不能となる。従って除灰活動を行うことも極めて困難を極めるだろう。主にガラスからなる火山灰は、絶縁体である。この火山灰が線路に5ミリ積もるだけで、電気は流れなくなり、電車はモーターを動かすことができなくなるし、信号も作動しなくなるのだ。

さらに言えば、現在最も一般的なレールは15センチ程の高さしかない。従って北海道以外の地域では、そもそもレールそのものが埋没してしまう。

このように、交通網が遮断されてしまうので、生活不能に陥った人たちに対する救援活動や様々な復旧活動も、絶望的になる。巨大カルデラ噴火の発生による直接的な被害者は、火砕流と降灰合わせて1000万人程度であろう。しかし、救援・復旧活動が極めて困難な状況下で生活不能に陥った1億人以上の人々は一体どうなるのだろうか?

人間は断食には比較的耐えることができるようだが、水は生命維持には必須である。最低で4~5日間水分の補給がないと、私たちは生きることはできない。救援活動がほとんど不可能な状態では最悪の事態、つまり1億人以上が命を落とすことを想定しておく必要があるだろう。

低頻度確率災害の対策は後回し

日本列島では過去12万年間に10回の巨大カルデラ噴火が起こってきた。しかしこのような「警告」を聞いても、よほど心配性な人以外は危機感を持たないのではなかろうか? いくら被害が大きくとも、低頻度の確率災害に備えるよりは、もっと切羽詰まった現象に対策を講ずる方が大切じゃないかと考える人が多いだろう。たとえば毎年繰り返される豪雨災害や、今後30年間で70~80%程度の高い確率で発生するとされる首都直下地震や南海トラフ巨大地震がそれである。

これまで幾度となく、霞が関のお役人にもこの危険性を訴えて対策をお願いしたが、担当が変わっても答えは判を押したように同じものだった。

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