フェイスブックの「ボット」は使えるのか?

なかなか増えない参加メディア

リソースの問題もある。基本的なボットを作るのは大したことではない。NBCニュースのアプリ「ブレイキング・ニュース」の場合、ゼネラルマネージャーのコリー・バーグマン氏によると、ひとりの担当者が4日間で単純なボットを作ったという。先述のボースウィック氏は、20分で簡単なボットを作り上げたそうだ。

外部のパートナーを使うことで急いでボット開発したパブリッシャーもある。例えば、「テッククランチ」や「コンプレックス・メディア」はチャットフュエル(Chatfuel)に、「ビジネス・インサイダー」はスペクトルムに、そして「CNN」はアウトブレインにボットの製作を依頼。また、NBCニュースとブレイキング・ニュースは共同で、次期ボットを開発している。

しかし、急いで作ると特色のないボットになりがちだ。また、ボットの検索機能は、コンテンツに関してパブリッシャーが保有するデータの範囲内でしか、うまく働いてくれない。よりパーソナライズされた記事が提供できるかどうかはデータ次第なのだ。

ボット開発はまた、動画などパブリッシャーのほかの優先事項と衝突する可能性がある。「Messenger」のボットについて、「試すのは面白そうだが、現時点で注力の中心が、すぐに変わるわけではない」と話すのは、Webメディア「バスル」創設者であるブライアン・ゴールドバーグ氏だ。

「フェイスブックの『ライブ動画』は、デジタルパブリッシャーの担当部門が、かなりのリソースを注ぐことが必要になる大規模な取り組みだ。そうした企業は中核のパブリッシング事業と『ライブ動画』に力の大半を注ぐのが賢明だろう。ほかの取り組みが気晴らしというわけでは決してないが、取り組みの数が増えればどうしても力が分散してしまう」と、ゴールドバーグ氏は言う。

導入に積極的な媒体社の意見

とはいえ、ボット界にいち早く参入することの優位性を理解しているところもある。パブリッシャーはコンテンツ配信へ懸命に取り組んでいるからだ。しかも、フェイスブックの「インスタント記事」やスナップチャットといった閉じたシステムと違い、自社サイトにリンクを張ってくれるボットはよい投資先といえる。ボースウィック氏は、「スナップチャットでは、スナップチャット独自のシステムでやっていくことになり、それ専用にコンテンツを作る必要がある」と、話している。

CNNのソーシャル部門責任者サマンサ・バリー氏によると、CNNがボットにいち早く手を出したのは、ソーシャルよりも大きくなりつつあるオーディエンスにリーチし、人々がどのようにアプリを使っているのかを知ることで体験を向上させられるからだった。それに、記事のほとんどが「CNN.com」の記事の再利用なので投資があまり必要ない。

バリー氏は、「オーディエンスの振る舞いを知りたかったわけだから、1日に700件も通知を送るつもりはない」と話している。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)

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