参院選「当落」予想!激戦区多い「近畿・中国」 大阪と兵庫の民進党は存亡の危機

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広島は自民党の宮沢洋一前経産相は安定だが、民進党の柳田稔参院議員はさほど安定とはいえず。ダークホースはおおさか維新の会から出馬する山口県の元和木町議の灰岡香奈氏だ。昭和58年生まれの32歳で、維新政治塾の1回生。あの上西小百合衆院議員と同じ年齢であり、維新政治塾の同期でもある。

「もう鳥取県は消えて、島取県になりそうだ!」

鳥取県の自民党関係者はこう叫んでいる。次期参院選では島根県と鳥取県は1つの選挙区になる。自民党の公認を得たのは、島根選挙区の青木一彦参院議員だ。

鳥取県選挙区で2010年参院選で当選したのは、自民党の公認を得ていた浜田和幸参院議員だ。浜田氏は2011年6月に菅政権の一本釣りにあい、総務大臣政務官に就任。自民党に離党届を出したが、自民党はこれに激怒し、除名処分にした。さらに自民党鳥取県連は「浜田氏は未払いの2000万円の借金がある」として、裁判にすることも検討。訴訟は断念されたが、感情のしこりは残っている。

なお島根選挙区で2007年の参院選で当選した亀井亜希子元参院議員が民進党に入党する意向が明らかになった。次期衆院選に出馬する意向だというが、衆参同日選があれば、話は進むだろう。

首相のお膝もとは安泰

山口は安倍晋三首相のおひざ元だが、自民党の公認候補は元下関市長でもある江島潔参院議員。2013年に安倍首相の弟である岸信夫氏が衆院2区に鞍替えした後を受けて、参院議員になった。亡父の淳氏も元参院議員で、江島氏自身も安倍首相に近く、国政への噂はもともとあった。

そもそも山口は自民党が圧倒的に強い地盤だ。4つある衆院の小選挙区はすべて自民党が独占する。2010年の参院選では、民主党(当時)は山口出身で知名度のある原田大二郎氏を擁立。だがタレント候補でも、たちうちできなかった。

次期参院選では、纐纈厚元山口大学副学長が野党統一候補となり、江島氏に挑む。纐纈氏は安保法制反対で反原発という、安倍首相とまったく対極の思想の持ち主だ。岩国基地と中国電力上関原発を抱える山口の有権者はどう判断するのか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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