参院選当落予想!首都圏は番狂わせも多発か 北関東・東京・南関東の8選挙区を占う

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5月14日、三原じゅん子参院議員の事務所開きが行われた。三原氏は2010年には比例区から出馬して当選。2期目は引退する小泉昭男氏の後継として神奈川県選挙区に鞍替えした。しかし神奈川で2名擁立を目指す党本部は、三原氏にすぐに公認せず、「公認候補を2人かかえるのは無理」と抵抗する県連と対立した。結果的に公認候補は三原氏、元みんなの党の中西健治参院議員が推薦候補となっている。

見どころが多い神奈川選挙区

神奈川選挙区の見どころは多い。まずは自民党内の戦いだ。三原氏には菅義偉官房長官が付き、中西氏には麻生太郎副総理が付いた。甘利明前内閣特命担当相が千葉県の建設会社の総務担当者から金銭を授受した問題で力をなくしたため、神奈川県連を牛耳るのは菅氏になったが、松本純衆院議員や河野太郎防災担当相など為公会(麻生派)のメンバーは中西氏を応援。いわば神奈川県は、菅氏と麻生氏の官邸での戦いがそのまま持ち込まれることになった。

さらに民進党から金子洋一参院議員に続いて真山勇一参院議員が出馬することになり、70万と言われる旧みんなの党の票が中西氏と真山氏でどう分けられるのかが気になるところだ。ちなみにこの票を巡り、中西氏を麻生氏に紹介した浅尾慶一郎参院議員と真山氏を擁立した江田憲司民進党代表代行の戦いという構図もある。

これに参戦するのが、公明党の三浦信祐氏と共産党の浅賀由香氏、おおさか維新の丹羽大氏らだ。三浦氏は元防衛大学准教授で、ソフトな外見が創価学会婦人部に人気だ。公明党は2013年の参院選で、「美しすぎる候補」と言われた佐々木さやか参院議員を擁立したが、今回もそのイメージ戦略を採用している。浅賀氏は2児の母で、待機児童問題などへの取り組みをアピールする。おおさか維新の会から出馬予定の丹羽氏は、弟がミュージカルスターの城田優。スペイン人の母親から譲り受けたその甘い風貌で、おおさか維新の会が弱い神奈川県でどれだけ斬り込んでいけるのかが注目される。

山梨では旧民主党で「参議院のドン」と言われた輿石東副議長が勇退し、宮沢由佳氏が後継となる。自民党は2014年の衆院選で長崎幸太郎衆院議員を応援したために除名処分となった高野剛県議を復党させて擁立。県内での人材不足を露呈した。

さらに2013年の参院選で落選した米長晴信前参院議員が参戦を表明している。米長氏は2007年には旧民主党から出馬して当選。前回は旧みんなの党から出馬して、5万8750票を獲得した。米長氏の出馬で、宮沢氏の票が喰われる可能性がある。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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