まだ消えていないギリシャのユーロ離脱危機

景気・経済観測(欧州)

そのうえ、財政健全化の達成に時間的な猶予を認めれば、その間の財政資金の不足額が当初計画よりも膨らみ、政府債務の削減がさらに遅れることになる。

財政の穴埋め方法を巡る溝は埋まらず

ユーロ圏の財務相は債務残高のGDP比率を120%以下にする達成期限を22年に延長することを認める方針だが、トロイカの審査報告書の原案によれば、その場合も16年までのギリシャの財政不足額は326億ユーロに上る模様だ。

財政健全化の達成先送りによって生ずる政府の財源不足については、①ギリシャ政府が3カ物や6カ月物の短期証券の発行を増額する、②ユーロ圏のギリシャ向け支援融資の適用金利を遡及的に引き下げ、返済期限を延期する、③ギリシャ政府が発行済みの国債を時価で買い戻す、などを通じて穴埋めすることが検討されている。だが、これだけでは政府債務の削減が十分でなく、債務の持続可能性が確保できないと考えるIMFは一段の債務再編に踏み切ることなどを求めている。

現在、ギリシャの公的債務残高の7割近くは、ユーロ圏からの支援融資、IMFの支援融資、ECBの国債保有といった公的部門が占めている。このうち、最上位の優先弁済順位を有するIMFは債務再編に参加することは期待できない。政府の財政救済を条約で禁じられているECBも、自発的な債務再編に応じることはないだろう。

次ページ再び利害関係者間で負担の押し付け合いも・・・
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