それでも強気を貫くコマツ 中国建機が急落

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コマツが7月下旬に販売計画を引き下げたのに続き、日立建機も10月下旬、今期の鉱山機械販売計画を100台強、250億円下方修正した。日立建機の田部井三浩常務は「これまで超大型ショベルは約1年先、超大型ダンプトラックは9カ月先の商談までいっぱいだったが、この3カ月でそれぞれ2カ月分短くなった」と風向きの急変に驚く。

クレディ・スイス証券の黒田真路アナリストは「鉱山機械需要の先行指標の一つは中国の油圧ショベル需要」と指摘する。そのため、鉱山機械はもう一段落ちる可能性がある。

それでも日系各社は強気の戦略を貫いている。コマツの野路社長は「市場が落ちているときは、コマツの機械だけを使っているお客さんに狙いを定める。そうすると、価格は下がらない。今期も中国では数%値上げしていく」と意気込む。そのうえで保守サービスを充実させるなど、顧客ロイヤルティを高めることで乗り切る戦略だ。

研究開発費は過去最高

一方、コマツは国内工場の再編で、生産に関連する固定費を中期的に3割削減する計画を掲げた。削減分は研究開発費に回す。付加価値の高い製品開発に注力し、市場縮小下でも利益を確保できる態勢を目指す。今期の研究開発費は過去最高の585億円に増やす予定で、来期以降は一段の増加を見込んでいる。

重点分野は、強みの情報通信技術を生かした建機だ。来年には、運転手がほとんど操作しなくても自動制御で整地や掘削ができるブルドーザーと油圧ショベルを欧米から順次市場投入する。日立建機も双腕の油圧ショベルを今年9月に発売するなど、独創的な製品で建機市場を新たに開拓していく方針だ。

日立建機の徳重博史専務は中国の建機需要回復について「来年後半ではないか」と言う。各社は虎視眈々と次のステージを見据えている。

(週刊東洋経済2012年11月17日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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