現場から悲鳴、日産「軽販売半減」の巨大衝撃 三菱自動車の燃費不正で販社が混乱している

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売れ筋だった「デイズ」だが、イメージは地に堕ちた(撮影:尾形文繁)

日産の販売店では、「デイズ」や「デイズルークス」の納車待ちで下取り車を既に売却してしまった顧客に対して、レンタカーや代車を無料で貸し出すなどして経済的な負担が発生しないよう対応しているという。

日産の販売会社が必死になっているのには別の事情もある。日産の国内販売では目立った新車投入がこの2年近くなく、2015年度下半期に予定されている主力車種の新型車投入を待つ状態にあった。各販売会社ではこれまで、オプションや車検、保険の販売に力を入れることで、新車販売の落ち込みをカバーしようとしてきた。しかし販売台数の4分の1を占めるような車種をショールームに並べられないとなると話は別だ。

販売再開できたとしてもイメージダウンは必至

5月2日から国土交通省は問題車種4車種の燃費の再試験を実施している。三菱自動車は実燃費との乖離値は「5~10%」としているが、調査結果次第では、車の生産や販売に必要な「型式指定」が取り消される可能性もある。仮に「型式指定」が取れて販売を再開できたとしても、イメージダウンは避けられず、「3~5割ぐらい販売が落ちる」(ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリスト)との見方もあり、販売会社にとっては茨の道は続く。

日産は元々、軽自動車の開発や生産ノウハウに乏しく、「デイズ」「デイズルークス」では、開発や生産は協業相手の三菱自動車に委ね、商品企画とデザインに関わってきた。両社は2015年10月、第3弾となる軽自動車では車両の設計開発を三菱自動車に替わって日産が担当することを発表。日産の環境技術や安全技術力を搭載することで商品競争力を引き上げるのが狙いで、生産は引き続き三菱自動車の水島製作所(岡山県倉敷市)で行う予定だった。ただ、今回の燃費不正により、両社の提携関係が今後どうなるかは不透明となった。

首都圏の日産販社社長は、2000年と2004年に起きた三菱自動車のリコール隠しを引き合いに、「三菱の販社には大規模リコールの経験があるが、日産の販社には経験値がない」と頭を抱える。2017年3月期の予算計画も急ピッチで作り直しているが、対象車種の販売停止期間がどのぐらいになるか見当もつかず、「仮の計画にしかならない」とこぼす。

期待の新車投入を待つ中で起きた今回の問題。前例のない事態をどう乗り切るか、日産の販社は苦しい舵取りを強いられている。 

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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