気象庁や熊本県の4月24日現在のまとめによると、震度1以上を観測した地震活動は24日午後3時までに累計865回、うち震度6弱以上が7回発生した。回数は減少してきたものの、震度3の揺れが収まらない。地震を直接の原因とする死者は48人、避難所生活での負荷などから亡くなる人が12人に達し、行方不明者2人、重軽傷者は1370人以上、被害を受けた住宅は1万228~1万328棟、36市町村の避難所591個所に6万7788人が避難している。このほかにも、多数の人が車中など自宅・避難所以外での生活を余儀なくされているとみられる。
国土交通省は「本震」襲来後の17日、九州新幹線の被害状況を写した8枚の画像を公表した。新八代駅(熊本県八代市)のホーム下のコンクリート柱は、根本が粉々になっていた。
新玉名-新八代間の高架橋を支える板状の柱は、一面にひびが。防音壁が直下の道路に落下したり、工場の煙突が倒れて防音壁を破壊した現場もあった。脱線現場を写した画像は、壊れたレールの向こうに、回送列車がうずくまるように映っている。各紙報道によると、損傷は約150カ所に及んだという。
各地で多発する地震に対応するため、JR各社は大規模な脱線や列車の転倒を防止する装置を順次、新幹線の車両と線路に装備していた。しかし、九州新幹線の回送列車が脱線した区間は、対処がまだ済んでいなかった。新幹線は在来線に比べ、風水害などの災害には一般的にははるかに強い。しかし、今回の地震では、震源の位置や列車の走行地点など、いくつもの不運が重なって大きな事故につながった格好だった。
新幹線復旧は早いペース
全線開通によって九州を早く、強く結び直した九州新幹線だが、予想を超える被害に遭って横たわる姿は、地震が九州の交通網にもたらした「断絶」を象徴する光景となってしまった。
ただ、内陸型の活断層による直下型地震は、海溝型の地震に比べると、強い揺れの範囲はまだしも限られている。九州新幹線は、熊本地域を除けば、深刻な被害は免れた様子で、新水俣〜鹿児島中央間は20日に運行を再開し、博多〜熊本間は23日に復旧した。残った熊本〜新水俣間についても、JR九州は早ければ28日にも運転を再開する方針だ。当面は運行本数を減らし、減速しての運転となるという。
他方、在来線も順次、営業を再開し、鹿児島本線で最後まで不通だった熊本〜八代間も21日には運転を再開した。並行在来線・肥薩おれんじ鉄道の区間を含め、在来線は群発地震の発生から1週間で、九州の南北を再び結んだ。各社報道によると、九州新幹線で残った熊本〜新水俣間についても、JR九州は早ければ28日にも運転を再開する方針だ。
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