熊本地震「LINE通話を10分無料」は大問題だ 悪意がないにしても、ひどすぎる
LINEを日常的に使っていても、LINE Outは耳慣れない人も多いのではないか。LINE Outとは、LINEの音声通話機能を使って、固定電話や携帯電話などの公共音声サービスに接続するサービスで、最近までは「LINE電話」と呼ばれていた。LINEの無料音声通信サービスは、インターネットを用いたデータ通信を利用するが、それを音声通信網と相互接続している。
LINE通話はデータ通信帯域が確保されていれば、LINE社が設けているゲートウェイを通じて音声交換網へと接続される。すなわち、LINE Outを無料化して利用を促すということは、限りある資源である回線交換容量を消費することに他ならない。とりわけ、熊本県内の携帯電話回線へのLINE Outを使った発信は、輻輳(アクセスが集中することにより電話がつながりにくくなること)をさらに助長するため控えねばならない。
災害時にどのように連絡を取るべきか
LINEもこの事に気付いたようで、アナウンスから4時間ほど経過して『LINE Outは回線に負荷が集中する恐れがあるため、緊急性が高い場合のみご利用いただくようご協力をお願いします』とツイートしたが、それでも相変わらず緊急性が高い場合にはLINE Outの使用を推奨している点が問題だ。
すでに安否を気遣う連絡は一段落しており、本記事が掲載される頃には通信インフラの混乱も落ち着いていると予想されるが、今後のためにも大規模災害時の連絡方法について、あらためて確認したほうが良いだろう。
スマートフォンは急速に普及したが、それでも日本における携帯電話契約者の半分はスマートフォンを使っていない。このため音声サービスで連絡を取りたい、あるいは自分自身の生存を知らせたいと思うのは当然のことだ。
ところが回線交換の容量は限られている。しかも、ほとんどの利用者が「緊急」と思って利用するため「緊急時には○○の方法で」というノウハウは通用しない。緊急だと思っても音声通話は使わないほうが、(何度もかけ直すなどの)回線への負担を回避するセオリーでもあり、社会的にも迷惑をかけない一番の方法だ。
だが、回線への負担を気にせず使える音声サービスがある。
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