会員が猛反発!太平洋クラブ再生案否決の舞台裏

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

■アコーディアのスキャンダルで再生計画案提出が2カ月遅延

そこへ勃発したのが、アコーディアの竹生道巨(ちくぶ・みちひろ)前社長のスキャンダル問題。責任を追及すべく「アコーディア・ゴルフ株主委員会」を結成した同社大株主のオリンピアは、ほかならぬライバル・PGMの兄弟会社(ともにパチンコ・パチスロ機器大手の平和の子会社)。アコーディア幹部からPGM社長に転じた神田有宏氏はゴルフ場運営2強統合の推進論者でもあり、スキャンダルの背景に統合問題が絡んでいることは誰が見ても明らかだった。

今年6月下旬に開催されたアコーディアの株主総会をめぐっては、竹生氏ら経営陣の退陣を求める株主委員会と、アコーディア側との壮絶なプロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展した。

結局、竹生氏は株主総会前に自ら退陣。総会も会社側提案が全面的に通ったが、スポンサー企業の混乱を受けて、4月27日に予定されていた太平洋クラブの再生計画案提出期限は7月2日に延期される事態に至った。「提出期限延期はアコーディアの混乱とは無関係」というのが太平洋クラブ側の公式見解だが、アコーディアの株主総会で株主委員会側は「太平洋クラブへのスポンサー拠出金額が高すぎる」ことも問題視していた。

会員を置き去りにしたアコーディア総会でのプロキシーファイトが終わり、7月2日に提出された太平洋クラブの再生計画案は、会員が当初から予想していたとおりの内容だった。

■会員は債権の93%カット、親会社は無傷の再生計画案

三井住友銀行系列だったころの太平洋クラブは、その100%の株式を三井住友銀行のグループ会社が保有。三井住友銀行が550億円を貸し付けていた。ファンド連合は、この株式と債権の取得の受け皿として、太平洋クラブホールディングス合同会社(略称GK)なるSPCを設立。

そのGKに、東急不動産、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(後に大和証券キャピタルマーケッツに譲渡)、メリルリンチ(後にニュークエストキャピタルパートナーズに譲渡)が合計67億円を出資する一方、あおぞら銀行がGKに138億円を融資。GKは太平洋クラブ株式を1円で、そして約550億円の担保付き貸付債権を推定約180億円で取得。その後20億円弱を追加融資しているので、GKは現在、額面で568億円の債権を持っているが、そのうちGKが実際に拠出した金額は推定約200億円である。

会社更生手続と違い、民事再生手続では、担保付き債権者は自由に担保処分ができる。したがって、再建に必要な資産の処分を阻止するため、通常はスポンサー拠出金額からまず担保権者に一定の支払いをして担保処分を止めてもらい、残りを他の無担保債権者に分配する。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事