日清「バカやろう」CMの謝罪騒動が示す皮肉 ネットとお茶の間の反応は大きく違った
公開当初からこの内容には驚きの声が上がっていたものの、このテレビCMが公開された3月末はネットニュースや掲示板などでは、実は好意的な受け止め方が目立っていました。
■日清さん攻めすぎィ! 世間の注目を集めた有名人が次々に登場する「カップヌードル」の新テレビCMがいろんな意味でギリギリ
サイゾーにいたっては、このテレビCM出演を元に矢口真里のみそぎが完了したことになるのではないかという記事を公開していたほど。
ネット上では賛否両論
それが10日もたたないうちに、結局放送中止に追い込まれたことで、ネット上では「当然だろう」と見る向きもあれば、「期待していた分、ガッカリした」などという声もあり、余計に物議を醸している状況のようです。ネットメディアの記事のほか、芸能人や著名人などがテレビ番組やブログ、ツイッターなどでテレビCM中止に対する異論を唱えているのも目につきます。
一部には、「謝罪まで含めた炎上商法なのではないか」という憶測も流れているようです。実際、日清はこれまでも主力のカップうどん「どん兵衛」について、お湯を入れて待つ時間がパッケージ記載の5分ではなく、「10分のほうが美味しい」とある芸能人が発言したのをきっかけにした「おわびプロモ」を展開。意図的に相手に突っ込むスキを作っておくことを「ツッコマビリティ」として公言しているようですから、その可能性は完全には否定できません。
ただ、今回の「バカやろう」CMは放送中止になっているだけでなく、ウェブ上に公開されていたテレビCM動画やキャンペーンサイトまで全て削除されているようですし、個人的には炎上商法の可能性は低いと感じています。
何も謝罪までしなくてもひっそりとテレビCMの放送を止めるとか、第2弾のテレビCMに切り替えてしまうとか、矢口真里さんのパートだけカットしたバージョンにするとか、いろいろ手段があったかもしれません。それでも今回の全面中止と謝罪のバタバタを横目で見る限りは、やはり日清食品が想定していたよりも批判の声が相当多かったというのが実際のところではないでしょうか。
これまで日清カップヌードルのテレビCMは、さまざまな挑戦的なメッセージを発してきました。今回のテレビCMシリーズで、ビートたけしさん演じる学長が発したのは「世間の声とかどうでもいい。大切なのは自分の声を聞くってことだろ? おりこうさんじゃ時代なんか変えられねぇよ」。
「一発レッド社会」と形容されるような、一つの不祥事によって社会的に再起不能なまでの総攻撃を受けてしまう風潮や、少し企業が尖りすぎた情報発信をすると批判を受けて謝罪する羽目に陥ってしまうという風潮に対する問題提起だったはずです。
「いまだ! バカやろう!」というのは字面だけ見ると非常に強い言葉ですし、一部の出演者の起用方法や肩書きは個人的には違和感を持つところもなくはなかったですが、批判を恐れずにもっと挑戦しようという前向きなメッセージを発信したかったということは伝わってきました。
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