20代で「金融資産1000万円以上」はこんな人 新入社員にこそ伝えておきたい「投資の真実」

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長期投資を考える場合には、この「信頼がおける対象かどうか」ということが最も大切になります。信頼のおけない対象であれば、長期に投資することはかえってリスクを高めます。

私が新入社員として就職した会社は、16年後に倒産しました。当時は大きな会社が倒産するなんて夢にも考えていませんでしたので、自社株を毎月少しずつお給料のなかから積み立てていました。株価の上昇もあって最も評価額の高かったときは3000万円くらいまで金融資産がありましたが、最後は株券そのものが無価値になりましたから、0円となってしまいました。
同様に、東京証券取引所に上場・公開している企業のなかでも不正会計などの違法行為で上場廃止になる企業は最も多かったときには年間20社くらいありました。私の経験は特殊なことではないと思います。

信頼度を増すためのポートフォリオ

個別企業より産業、それより日本全体、世界全体とより大きな経済主体に投資対象を広げることが「信頼度を高める」方法だとすると、投資対象を選ぶには、結果として複数の投資対象を自分の資産のなかに組み入れる必要があります。

これが「ポートフォリオ」という考え方です。Webで検索してみると、ポートフォリオの語源はラテン語のポルターレ(運ぶ)とフォリウム(一枚の紙)だそうで、想像するにカバンのようなもの。ひとつのカバンの中にいろいろな書類を入れる、という発想からすれば、ポートフォリオは資産をひとつのカバンの中に入れておくということになります。

多くのタイプの資産を取り込むことで、その資産が日本の産業を代表するものになり、さらに日本経済や世界経済を代表するものになるのなら、より一層「信頼できるもの」になるはずです。このように、長期投資は、いくつもの資産に分ける「分散投資」という手法と切っても切れない関係にあることを、ぜひ覚えておいてください。

野尻 哲史 合同会社フィンウェル研究所 代表

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のじり・さとし / Satoshi Nojiri

一橋大学卒業後、内外の金融機関を経て2019年から現職。退職世代向けのお金との向き合い方に特化して情報発信を行う。『IFAとは何者か』(共著)など著書多数。

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