インドネシアの官民一体発電所に灯る黄信号 土地収用に対し抗議運動が起きている
総額約5000億円規模の石炭火力発電所プロジェクトの融資期限が4月6日に迫っている。東南アジア最大級の発電所建設計画の行方はどうなるのか──。
問題が指摘されているのは、日本企業がインドネシア・ジャワ島中部で進めている、バタン石炭火力発電所。人権侵害を引き起こしているとして、現地の公的機関から批判を浴びているのだ。
同発電所は、日本の大手電力会社J|POWER(電源開発、以下Jパワー)と伊藤忠商事が現地の大手石炭採掘会社と共同出資し、ビマセナ・パワー・インドネシア(BPI社)を設立して事業を進めてきた(下図)。
土地収用は適切なのか
計画されている発電所の規模は合計出力200万キロワット、総事業費は45億米ドル(約5080億円)を見込む、東南アジア最大規模の電力卸売事業だ。
日本とインドネシアの官民パートナーシップ方式(PPP)に基づく初めての事業でもある。2011年10月7日に、25年にわたる長期電力供給契約を締結し、プロジェクトがスタートした。
国土交通省の資料によれば、三井住友信託銀行など大手銀行が融資に関与するほか、日本の政府系金融機関である国際協力銀行(JBIC)の果たす役割も大きい。
3月23日の参議院財政委員会で、共産党の倉林明子参議院議員の質問に対して、渡辺博史JBIC総裁は「当行には21億米ドルの融資が期待されている」と答えている。
しかし、バタン火力発電所の建設計画は難航している。当初は2012年にも着工し、2016年末に1号機の運転開始を見込んでいた。ところが土地取得に時間がかかっているため、融資実行期限が延期され、今回4度目となる融資期限が4月6日に迫っている。
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