「歯がなくなった」あの人に教えたい最新治療 自分自身の体内からつくりだす驚異の技術

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このPRGFが最近では歯科の分野においても大きな活躍をしています。

1.歯周病で失われた骨を再生させる。インプラント治療を行うために足りない骨を再生させる

歯科の分野では、歯周病などで失われた歯を支えている骨を再生させることに非常に効果的に活用できます。今まで骨を造るために、自分自身の他の部位から骨を採取したり、あるいは他の動物・ヒトの骨を使っていたりしたこれらの手術において、PRGFを利用することにより自分自身の血液採取のみで簡単で安全に行うことが出来るだけでなく、今までよりはるかに短期間に再生骨を獲得できるようになります。

2.抜歯後の歯槽骨再生

抜歯した骨の欠損部にPRGFを入れることにより短期間での骨を再生させ、従来再生困難だった大きな骨や歯肉の欠損をも再生を促します。

3.インプラントの骨結合促進

歯を失ってしまった部分に人工の歯根を入れるインプラントをPRGFに浸すことにより、前骨芽細胞を移動・増殖分化を促し、骨質の悪い状態でもインプラントが可能となります。

4.お口の中の粘膜やお口周りの皮膚の治療

組織の再生能力を失った難治性の潰瘍部位に増殖因子を適用することで治癒促進が認められます。また老化した粘膜や皮膚にPRGFを注入すると、コラーゲンやヒアルロン酸の生成が増加し、組織の抵抗力が増すだけでなくその後の老化速度を低下させます。

PRGF治療の流れ

ちょっと専門的になりますが、具体的な治療の流れをご説明しましょう。

【採血】
PRGFを採集するのには「PRGF SYSTEM」を使います。
「PRGF SYSTEM」とは、血液から「PRGF」と「自家組織フィブリン」のみを取得できるように作られたシステムです。血液は患者様自身から採血します。使用する量により採血量は異なりますが、歯科・口腔外科領域では20cc~(多くても)40cc程度ですので、血液検査のときに採血する程度の量です。
【分離】
採血した血液を一定の条件に設定した遠心分離機で8分間ほど遠心分離させます。すると、大きく「赤血球」「白血球」「血漿」に分かれます。さらに「血漿」部分は、血小板数、成長因子の濃度により3層に分かれます。その3層のうち白血球層のすぐ上の部分が血小板成長因子を多量に含む部分で、ここがPRGFです。
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