「歯がなくなった」あの人に教えたい最新治療 自分自身の体内からつくりだす驚異の技術

拡大
縮小
【活性化】
上記の採取過程では血小板は活性化されずα顆粒と呼ばれる部分も無傷のままですので、成長因子は放出されていません。成長因子を分泌させるには、アクチベーターという装置を使って血小板を活性化させる必要があります。活性化したPRGFは恒温槽に置き、固まるまで待ちます。
【使用】
使用時は形成して施術部位に適用します。施術後のPRGFは、骨や組織の修復・再生に重要な役割を果たす多数のタンパク質や成長因子が放出し、幹細胞の分裂、骨基質形成、コラーゲン形成などにより治癒を促進します。この時、血管新生も促進されますが、骨修復が最適に行なわれるためには、移植片への血管侵入は不可欠であるため、この点においてもPRGFは有効な治療法と言えます。

このような流れでPRGF治療は行われていきます。

今まで人工の材料を使用していたものが、完全に自分自身の体内にある成分で治療できるため本当に安心、安全かつ確実に治療できます。PRGF療法は整形外科分野においては、骨折や火傷の治療など、美容医療の分野ではシワやタルミの治療に用いられています。

治療の幅が広くなる

筆者が経営する歯科医院でも3年ほど前から導入しています。実は当初、この話を聞いた時はかなり半信半疑でした。しかし、実際やってみるとその効果はかなり高いものだということが分かりました。今までの再生療法に比べて本当に手技も簡単で、驚くほどしっかり骨ができるのです。しかも、術後の腫れなどもかなり少なく、患者さん自身もかなり楽だと思います。PRGFの導入で、キーデンタルの治療の幅もかなり広くなったように思います。

医療も本当に進化しているのだと実感しています。インプラントを骨が足りないと断られた人や、歯周病で悩んでいる人は一度PRGFについて歯科医院で相談してみるといいかもしれません。

小林 保行 歯科医師/キーデンタルクリニック院長

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こばやし やすゆき / Yasuyuki Kobayashi

2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、あごや歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口回りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。

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