ホンダが新型軽「N-ONE」に賭ける思い 団塊と若者の両方狙う

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11色を揃えただけでなく、5パターンのツートンカラーも用意した。車体塗装の塗り分けは、技術的にも難しく、工程もかさむ。しかし、それでも質感を出すためにこだわった。工程の問題でツートンの組み合わせは固定となっているが、「自由に色を組み合わせるフルオーダーも実現したい」と浅木氏は語る。

もっとも軽のチープ感を払拭するためだからといって、あくまでお得感がウリの軽である以上、安易な価格アップは受け入れられない。N-ONEのコストダウンのキーとなっているのが、N BOXと共通化したプラットフォームだ。

基本車種を絞り量産効果狙う

そもそもN BOX、N-ONEはシャシーやボディなどクルマの基本構造(プラットフォーム)を共有化させたシリーズ車種。基本的な設計や部材、製造は共有する思想のもとに開発されている。基本車種を絞り派生展開することで量産効果を狙うわけで、N BOXのヒットがあればこそ、N-ONEの特長が出せるのだ。

Nシリーズ開始にあたり、ホンダは、三重県鈴鹿市の鈴鹿工場に、軽の開発から調達、生産、営業部隊までを集結させ、全工程での最適化を追求している。現在、鈴鹿工場にある2本のラインのうち、1本分(年産25万台)はNシリーズの生産で埋まり、もう1本のラインは混流ラインでフィットなどコンパクトカーとともに生産されている。量産体制が効き「軽だからといって採算性が悪化していると言うことはない」(松本氏)。

今後、ホンダでは、Nシリーズの派生車種や軽スポーツ車などで、軽全体で2015年までに5車種を追加する計画だ。ハイトワゴン、質感重視、と来て、次は経済性重視のセカンドカータイプなどもラインナップすることになる。鈴鹿のラインをすべて軽で埋めることでさらに生産性を高めていくことを目指す。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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