北海道新幹線の平均乗車率はたったの25%!? 収入維持へ「お得なきっぷ」はネット限定販売

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北海道新幹線の新函館北斗駅。お得な企画きっぷはネット限定で、駅での販売は行わない

この計算から分かることは、北海道新幹線の1日5,000人(1日当たりの総提供座席数19,006席に対して乗車率26%)の旅客はすべて定価で乗車することを想定しており、上記の企画きっぷ発売の意図は、残りの空席分74%(=(19,006席−5,000席)÷19,006席)を安く販売することにあるということになる。つまり、元々収入が見込めない空席分を安売りし、増収を図る狙いがJR北海道にある。

つまり、上記の企画きっぷは、「原価計算書」で提示した総収入を減少させず、むしろ企画きっぷが売れれば、JR北海道が提出した「減価計算書」の上では、総収入は増加するのである。

ただし同社の思惑通りにこうしたシナリオを実現させるためには、定価で乗る意思を有する人にまで企画きっぷを売ることは避けなければならない。なぜなら、想定の5,000人には定価で乗ってもらわないと、「原価計算書」で提示した料金収入を確保できなくなるからである。

「安ければ乗る」層へアピール

JR北海道が増収を実現するカギは、安ければ乗ってもよいと考える値段に敏感な層へ訴求することである。定価で乗ってくれる人たちは急な用事等で価格を気にしないが、値段に敏感な人たちはインターネットを活用して安いきっぷを探すと考えられる。

値引きしても減収に陥らないようにするためには、値段を気にしない層には値引きしない一方、値段に敏感な層には「限定的な方法」で企画乗車券を発売することが有効である。つまりここでは、元々乗車が見込めず収入(価値)がゼロと見込まれる空席14,006席(74%)を、安売りしてでもできるだけ多く売りさばくことが、増収の解ということになるのである。

インターネット限定商品である「北海道お先にネットきっぷ」「北海道ネットきっぷ」は、値段に敏感な層へのアピール商品であり、値引きをしてもJR北海道が損をしない「切り札」と言える商品でもある。

駅の窓口で企画乗車券を販売しないのは、定価で乗る意思を有する人にまで企画乗車券を販売すると、料金収入が減少する懸念があるからだと推察される。JRが減収とならないカギが、インターネット限定発売であると言える。「限定的な方法」で企画乗車券を発売することで、料金収入を維持することができる。

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