テスラ次世代EV「モデル3」が持つ本当の意味 17年に価格500万円以下、航続320kmで登場
それに「JC08モードの航続距離は実際に走行できない」とは自動車業界関係者のみならず、リーフユーザーからも聞こえてくる話だ。あるリーフユーザーの体験談を聞くと、「満充電の状態で神奈川から栃木へ高速で向かったが、とても持たず途中で充電が必要となった」という。出発地から到着地までの距離は200kmを下回っていたはずなのにもかかわらずである。
これが300km以上の航続距離があるとなると、話は変わってくる。東京から名古屋の手前ぐらいまでは走れるし、もっと長い距離を高速道路で走るとしても、食事やトイレなどの現実的な休憩を挟む際に充電しながらの旅も可能となる。
テスラ車の電気代はガソリン車の10分の1程度
一般的な自動車における燃料代と比べればテスラ車の電気代は安い。現行モデルSの場合、一般的なガソリン車の燃料代と比べたときの電気代は10分の1程度、HVのそれと比較しても同5分の1程度という。次世代のモデル3はバッテリー効率をモデルSやモデルX以上に高める方向で開発が進んでおり、さらにエネルギーコストを抑えられる計算だ。
航続距離ということであればテスラロードスターは394kmを誇っているが、発売当初の車両価格は日本円で1481万円もした。それと比較すると新モデルはかなり安い。
テスラは現在、1台の車を売るたびに赤字が出る投資先行の段階にあるものの、継続した資金調達とともに着々とコストダウンと性能向上を図ってきており、EVを現実的な市販車のレベルに少しずつ近づけていっている。
記者はモデルSとリーフの両方に試乗したことがあるが、最大の違いはアクセル操作に対するダイレクト感と加速性能。モデルSは踏めば踏むだけ加速し、ベーシックなモデルでもスポーツカーのような速さがあるのに対し、リーフは普通のガソリン車のコンパクトカーと大差がなかった印象がある。
トヨタが2014年末に市販した燃料電池車「MIRAI(ミライ)」に続き、ホンダも燃料電池搭載の市販車「クラリティ」を3月10日に法人リース向けに発売。ただ、これらの価格は車両本体で700万円を超え、水素供給インフラの整備が追い付いていないことから、EV以上に普及に時間がかかる。
HVに比べると普及が遅れているEVだが、トヨタのHVが累計販売20万台に達したのは、初代プリウスを世に送り出した1997年から数えて9年目だった。リーフやテスラを例に取れば、新しいジャンルのクルマとして、EVの普及速度は決して遅いとも言い切れない。
日産も来年に次世代リーフの投入を予定しており、航続距離の向上を含めて性能を高め、コストも下げてくるだろう。テスラの第3世代の登場も相まって、2017年以降は富裕層を中心としてEVというエコカーの新しい波が少し大きくなってくるかもしれない。
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