ファンドがオプトの監査等委員会移行に反発 監査等委員会は新たな"ガラパゴス制度"だ
そもそも、オプトの経営陣だけでなく、多くの日本の経営者は、コーポレートガバナンスの目的を、業務改善のための内部管理システムだと勘違いしています。だから業務に精通している人でないと社外取締役に相応しくない、人材がいないと言うわけです。
でも、我々株主が監視したいのは業務ではなく、経営陣そのものです。経営陣そのものを監視するのに、業務に精通している必要はありません。
ーー今回のアクションを起こされる前に、経営陣とは話をされているんですよね。
細水 もちろんです。1月下旬に移行表明が出てすぐ、どういう考えで移行するのか問い合わせました。指名委員会等設置会社に移行する道や、従来の監査役会設置会社のまま、任意で報酬委員会や指名委員会を立ち上げる方法だってあります。強制力はありません。
実際、そういう上場会社は400社以上あるんですから、いくつもある選択肢の中から、監査等委員会設置会社を選んだ理由は、当然聞けるだろうと思って問い合わせたんです。ところが全く検討している形跡がない。そんなことを聞かれること自体に驚いているという印象でした。
対話を阻む日本の機関投資家の過剰な遠慮
ーー当たり前のことを聞いて"驚かれたことに"驚いたと。
細水 そうです。米国では指名・報酬・監査と3つの委員会を設置することが常識です。従業員に、自分自身の報酬や昇進を自分で決めさせる制度がありえない、ということは誰にでもわかるでしょう。
米国では、自分をクビに出来る制度がもともと当たり前に存在しているから、だからこそしぶしぶながらも経営者はそういう環境に身を置くわけです。
自分をクビに出来る制度とそうでない制度を選べるのなら、後者を選ぶのは当然です。だから、一足飛びに指名委員会等設置会社とは行かないまでも、任意の指名委員会や報酬委員会の設置を検討するほうが先です。
ーー日本企業の多くは総会で取締役報酬の総額を決め、配分は取締役会に一任しますが、実際には取締役会が社長に一任してしまい、各取締役の報酬額は、社長しか知らないというのが一般的な様です。
細水 日本企業の取締役は内部昇格が多いでしょう。少なくとも従業員でいる間はある程度明確な査定基準に基づいて給与や昇格が決まる世界に身を置いているのに、取締役になったとたん、社長の裁量にお任せになるのがおかしいと思わない、というのは本当に不思議です。
ーーオプトが保有する、発行済みの13.8%に上る自己株式の消却も求めていますね。この自己株式はカルチュア・コンビニエンス・クラブとの資本提携解消した2014年3月に、会社が引き取ったものですね。
細水 そうです。会社側は、M&Aに活用したいと言って消却を拒否しています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら