上場企業には「不祥事対応の原則」が必要だ 日本取引所自主規制法人・佐藤理事長に聞く

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――自主規制法人の実務面にも反映されるのでしょうか。

我々の上場管理上の実務においても、当然、これを使っていくことになる。とくに特設注意市場銘柄の指定に関連してくる。指定から1年間のうちに抜本的な改善を施してもらうが、そうでないと、特設注意市場銘柄の指定解除はできない仕掛けになっている。指定期間では、綿密なアドバイス、指導をやっており、そのなかでは、今回のプリンシプルに沿った対話を企業内で行なっているかという質問をすることになる。

特設注意市場銘柄の指定解除の判断に資する

プリンシプルにきちんと対応しているかどうかというだけで、上場管理上の対応をとるということはない。なぜならば、これはプリンシプルだからだ。ただし、プリンシプルに沿って的確な再発防止策を策定し、迅速、的確な実行に取り組んでいるということは、特設注意市場銘柄の指定解除の際には、通常の上場企業としての企業行動が期待できるだろうと判断することにつながる。特設注意市場銘柄の指定解除を後押しする結果にはなるだろう。

――趣意のなかで「パブリックカンパニーとしての自覚」を訴えていますね。

"パブリックカンパニー"というキーワードに着目してもらえたのは、わが意を得たり。是非とも、プリンシプルの本文のみならず、趣意も合わせて読んでいただきたい。

上場企業にはひじょうに多様なステークホルダーがいる。株主を筆頭に、将来の株主という意味では投資家もいる。それ以外に債権者、製品・サービスを購入している顧客、取引関係のある企業もそうだ。工場を展開しているのであれば、地域社会も広い意味でのステークホルダーだ。不祥事を起こすと、広い範囲の利害関係者に影響が及んでしまう。そこはまさにパブリックであるわけだ。そういう意味で、備えができていない経営は困りものだ。本来、経営者であれば意識していて当たり前だが、ときにお忘れになる経営者もおられる。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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