マック、学生バイト採用がAKB48頼みの理由 売り上げ急回復で、今度は人手不足に

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現在の比率は学生が52%、主婦が28%、その他(フリーターなど)が20%という構成になっている。毎年3月には学生が卒業と同時に、進学や就職といった理由でアルバイトを辞めてしまうケースが多い。

そのため、マクドナルドのみならず、大量のアルバイトに頼っている外食や小売業界にとって、この時期の採用活動は頭の痛い課題となっている。

マクドナルドにとってはより深刻な問題もある。既存店売上高の前年対比は2015年1月に発覚した異物混入問題の影響で大きく落ちこんでいたが、2016年1月は前年同月比35%増、2月は同25.4%増と、やっと一巡しつつある。

ところが、売り上げが大きく落ち込んだ、2015年にコスト削減のために勤務時間を絞ったことで、離脱するクルーが相次いだ。売り上げが急激に回復して客が戻ってきても、クルーは同じタイミングでは戻ってこない。

実際、現場の思いは複雑だ。従業員やアルバイトで構成する労働組合の日本マクドナルドユニオンの根岸和弘・中央書記長は「採用活動に宣伝費をかけるより、クルーの人件費に回すほうが先だ」と指摘する。

繁華街など一部を除けば、ほとんどの店舗でクルー時給は最低賃金と変わらない水準にとどまっている。交通費も店長の裁量次第だが、支給されない店舗もある。有給休暇に至っては「クルーに有休があることすら周知されていない」(根岸書記長)ケースすらあるのが現状だ。

「ブラックバイトだから嫌だと断られた」

2015年に勤務時間を絞ったことで現場を去ったクルーもいる。回復局面となった今は人手不足が懸念材料だ(撮影:尾形文繁)

ある社員も「店内や街頭で一緒に働きませんかと女子高生に声を掛けたところ、“マックはブラックバイト”“時給が安いから嫌だ”と断られた。ブランドイメージの毀損は大きい」と嘆く。

特に深夜時間帯の人員不足は深刻だ。マクドナルドユニオンの根岸書記長はこう指摘する。

「22時~朝の5時は会社の内規で従業員が最低3人と定められている。会社は3人店舗にいればいいという考えで、実際には、1人が清掃、1人が休憩と実質1人で勤務するワンオペレーションの時間帯が出てくる。3人すら充足できず“設備点検のため”という名目で深夜時間帯に店を閉めざるを得ない店舗もある」

外食業界では牛丼チェーンのすき家で、2014年10月に、複数の従業員の確保が難しい深夜営業の休止に追いこまれる事態が起きた。マクドナルドでも売り上げの回復局面と学生クルーの大量流出が重なれば、業績回復計画に支障がでてくる可能性もある。

こうした状況について、クルーリクルート担当の宮沢氏は「大幅に人手が足りないということはない。ブラックバイトと呼ばれる環境ではないと考えている」「マクドナルドにはアルバイトの募集をする前にまずは店舗の勤務環境を整えるという採用のポリシーがある。受け入れの準備はきちんと整っている」と説明している。

さまざまな思惑が絡み合う中、クルーのイメージアップのためにAKB48が動員される。このキャンペーンの効果のほどは、すぐに分かることだろう。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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