【産業天気図・医薬品】特許切れ相次ぐ「2010年問題」と薬価引き下げがダブルパンチで雨続く
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
医薬品業界の雨足は一向に弱まる気配がない。特許切れが相次ぐ「2010年問題」は、雨を降らす大きな一因だ。特許満了薬に変わる候補を開発しようと、研究開発費は増加の一途で、各社の利益率を押し下げる。度重なる「薬価引き下げ」も、国内市場で伸びなやむ大きな原因だ。
国内首位の武田薬品工業<4502>は、米国で申請していた糖尿病新薬「SYR-322」の承認が、先送りされたと発表。SYR-322は、現在販売中の糖尿病薬「アクトス」の後継にともくろんでいた期待の新薬だ。
現在、最主力品であるアクトスの売上高のうち、米国での売り上げは3017億円と圧倒的だが、11年1月の特許切れは目前。加試験は2014年末を予定しており、安価な後発品にとって変わられるのは不可避だろう。
2位のアステラス製薬<4503>の状況は一段と厳しい。米国で今年度末に特許切れする排尿改善薬「ハルナール」は、特許切れ前に買い控えが進み減少すると予想されている。ただ、不幸中の幸いにも、最主力ですでに特許が切れた免疫抑制薬「プログラフ」にまだ後発品が出ていないことで業績への影響は限定的にとどまっている。
とはいえ、プログラフの後発品が今後でないという保証はない。研究開発に力を入れているものの、大型薬の発売は今のところ予定にない。大きな売り上げが期待できそうな新薬を導入、もしくは画期的な医薬品などを持つ企業を購入するよりほかに、中期的に業績を維持する方策はないだろう。