升永弁護士が「意見広告」を打ち続ける理由 「自民党は言論の自由を潰そうとしている」

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升永弁護士は「有史以来、日本には市民社会というものは存在しなかった」と指摘する。「市民」とは、自らが人口(1億2000万人強)分の1の国家権力の主権者であるという自覚を持った存在になることだという。しかし、大切なことは誰かが決めてくれるもので自分には関係ない、という「お上意識」が、まだ日本では根強い。

「かくいう私だって、7年前に人口比例選挙の問題に気づくまでは、自分が『市民』だという自覚はなかった。正直な話、選挙にも行っていなかったしね」

意見広告の焦点は「言論の自由」に

今年7月には参議院選挙が控えているが、安倍晋三首相は、憲法改正を真正面から争点にすることを明言している。そこで今、意見広告の焦点は、この憲法改正に移っている。

「自民党改憲草案、読んだことありますか。政権与党が提案する次の憲法案なのに、全人口のうち数百人を除いて誰も知らないし、大手メディアも全く報じない。驚くなかれ、改憲草案の21条2項(「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」)は、現憲法が保障する『言論の自由』を否定しています」

「活動」という文言は曖昧であり、時の政権の判断によって、あらゆる表現行為が「公益および公の秩序を害する」ことを理由に否定される可能性を秘めているという。内容の非現実性を指摘する声が多く、実際はそこまで気を止める必要はないといった意見も聞かれるが、「権力はそんなに生易しいものではない」と升永弁護士は危機感をあらわにする。今後は、「言論の自由」をテーマとして、次々と「新作」の意見広告を出す予定だ。

「夏の参議院選挙までは、自民党改憲草案の問題点について、徹底的に発信していく。国民の皆さんに広く共有されている、『言論の自由』という重要な価値の否定の一点に絞っていきたい。私は『市民』ですから、これからも這うような草の根の活動を、続けていきますよ」

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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