なぜトヨタの役員に女性がいないのか、同質経営から多様性重視企業へ変化を

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 資生堂は化粧品など女性が顧客の会社であり、社員も半数弱が女性、女性管理職比率の目標を30%に掲げるなど日本のダイバーシティ経営の代表格といえる。にもかかわらず、同社の執行役員を含む役員21人の中で女性役員は、厚生労働省出身の岩田喜美枝副社長ただ1人である(監査役には2人女性がいる)。

「日本の企業社会の異質性を打破するためには、トップからの改革が不可欠。ダイバーシティも経営の意思決定ができる層で進んでいるかどうかが重要」というのは、ダイバーシティ経営に詳しい創コンサルティング代表の海野みづえ氏である。「女性役員が増えれば、黙っていても女性管理職は増える。仕事の仕方も変わる。外国人役員も同様だ」。

さらに、「社内人材がまだ育っていないというのなら、社外取締役として女性を登用すればいい」と、自らも上場企業の社外取締役を務めた経験から提案する。東洋経済調べでは、現在、女性役員の43%が社外取締役だ。社外取締役の登用も企業の意思決定機関の多様化にかなう。これに対して日本経団連は、金融危機では米国企業型ガバナンスが機能しなかったと指摘、社外取締役の義務づけなどに対し消極的な見解を示している。

キリンホールディングスとサントリーホールディングスとの経営統合案が示すように、グローバル競争力を強化するためには、異質な企業文化を持つ企業同士の合従連衡が求められる。グローバル社会では同質経営は通用しない。その意味でも、「日本人・男性・生え抜き」の同質経営から「外国人・女性・社外出身」を含めた経営陣の多様化が不可欠だ。変革期こそ、ダイバーシティの理念が経営に求められる。

仮に、全上場企業が1人ずつ女性役員を新たに登用し現職に加われば、上場企業の女性役員比率は現状の1・2%から一挙に10%に達する。毎年、多くの企業の株主総会では「なぜ、女性役員がいないのか」という質問が出るという。これに納得のいく回答ができる社長がはたしてどれだけいるだろうか。

(野津 滋 =週刊東洋経済)
※写真は本文とは関係ありません。撮影:尾形文繁

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