ヨーロッパのデモクラシー 網谷龍介、伊藤武、成廣孝編 ~「EUプラスα」の現実から現代日本を考える

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 たとえば、ルーマニアやブルガリアの議会選挙では、信任投票という形をとりながら、信任の場合は無記入、不信任ならば特別の場所で記入という仕組みでまったくの骨抜きにされていたそうである。これらの国々については、基礎的な制度や歴史さえなかなかつかめないことも多かったが、本書一冊で「EUプラスα」諸国がとにかく網羅されていて、比較に大変便利である。

本書では、ヨーロッパにおける「組織政党デモクラシー」のあり方に注目している。従来から、「近代政党」はイギリスをモデルとし、またイデオロギーが大きな役割を果たしてきたという点でも、日本やアメリカとは距離があるとされてきた。無党派層が増大し、「テレビ・ポピュリズム」と言いたくなるような現象が続くのはなぜか。政党や内閣の支持率が大きく振れるのはなぜか。こうした現代日本の問題を考えるうえでも、本書はいろいろと示唆に富んでいる。

あみや・りょうすけ
明治学院大学国際学部教授。専門は比較政治学、ヨーロッパ政治。1968年生まれ。東京大学法学政治学研究科修士課程修了。
いとう・たけし
専修大学法学部准教授。専門はイタリア政治、ヨーロッパ比較政治。東京大学法学政治学研究科博士課程中途退学。
なりひろ・たかし
岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授。専門はイギリス現代政治。東京大学法学政治学研究科博士課程単位取得退学。

ナカニシヤ出版 3360円 450ページ

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