トヨタ自動車はどうする?米GMが合弁NUMMIから撤退、単独で存続か、閉鎖か

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トヨタ自動車はどうする?米GMが合弁NUMMIから撤退、単独で存続か、閉鎖か

米連邦破産法11条を申請し、事実上国有化された米国ゼネラル・モーターズ(GM)が、トヨタ自動車との合弁会社(GM50%:トヨタ50%)であるNUMMI(ヌーミー、カリフォルニア州)から撤退する。GMの持つNUMMI株は、優良資産の残る新生GMではなく、清算会社となる旧GMに移される。1980年代から日米自動車摩擦解消の象徴として立ち上がったNUMMIだが、GM破綻とともにその歴史的役割を終えた。

トヨタにとって、GMに代わるパートナーを捜すのは至難の中、今後の焦点は、NUMMI株を引き取って単独で事業を行うか、それとも閉鎖するかだ。NUMMIは現在、トヨタ車の「カローラ」「タコマ」と、GM車「ポンティアック・バイブ」を生産している。ただ8月には「ポンティアック」の生産が中止される。今後、GM撤退で残る半分の生産ラインを埋めようにも、この自動車不況でトヨタの米国内の他工場も稼働率が大きく落ちており、事はそう簡単でない。さらにNUMMI従業員の給与や福利厚生は、トヨタの米国工場よりも水準が高く、存続させることはますます効率を悪くする。

かといって、閉鎖しようにも、今度は“政治的な事情”がネックになる。トヨタは過去に国内外で工場を閉鎖した歴史がない。現地の雇用に最大限配慮しているためだ。米西海岸には他に車両工場がないゆえ、従業員の工場間配転も厳しく、閉鎖はそのまま「首切り」を意味する。

しかも交渉の相手は、GMでなく、実質的にGMを管理下に置いている米国政府だ。工場の地元への寄付や植樹、あるいは水面下でのロビイング活動など、過剰なまでに米国社会の動向に気を遣い続けてきたトヨタが、本当に閉鎖に踏み切れるのか。

どちらにしても、GMの早期再建を米国政府が望んでいる以上、トヨタは今夏中には結論を出す公算が高い。存続にせよ、閉鎖にせよ、豊田章男社長の最初の大きなハードルとなりそうだ。


《東洋経済・最新業績予想》
 (百万円)    売 上  営業利益   経常利益  当期利益
◎本2009.03   20,529,570   -461,011   -560,381   -436,937
◎本2010.03予  16,500,000   -850,000   -850,000   -550,000
◎本2011.03予  19,500,000    300,000    300,000    270,000
◎中2008.09   12,190,405    582,068    636,487    493,469
◎中2009.09予   7,600,000   -600,000   -600,000   -450,000
-----------------------------------------------------------
          1株益\    1株配\
◎本2009.03       -139.1        100 
◎本2010.03予      -175.4      90-95 
◎本2011.03予        86.1     95-100 
◎中2008.09        156.9         65 
◎中2009.09予      -143.5      30-32 
大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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