希27歳、東京に染まってフラれてしまった! 「染まらないところが好きだったのに」
それぞれの部署に戻る道すがら、二階堂くんのことを思って少しだけ胸が痛みました。
「染まる」ことは悪なのか?
報告が遅れましたが、二階堂くんとは別れました。正確に言うとフラれました。
彼は、別れ際、こう言いました。
「お前の染まらないところが好きだったんだよ」と。
それを言われて、ふと、木綿のハンカチーフの、歌詞がフラッシュバックしました。東京に旅立つ恋人に向かって、故郷の女はこう言います。
私は 欲しいものはないのよ
ただ、都会の絵の具に
染まらないで帰って
染まらないで帰って
調布出身の二階堂くんに言われるとは思ってもみませんでしたが。
彼は田舎娘や、自分より物を知らない年下の女の子に、何かを教えてあげて優越感を感じるのが好きなんでしょうね。私が『81』とか、『ユーゴ デノワイエ』に、行ってみたい!ってリクエストすると彼、イヤな顔をしていました。
それにしても「染まる」って、いけないことなんでしょうか?
話題のレストランを知りたいと思うことや、海外から上陸したホテルに泊まってみたいと思うことは、そんなにいけないことでなんでしょうか?
東京には、湧き出る好奇心の赴くままに行動しても、尽きないほどの情報も場所もあるんです。
自分の小さな世界で満足することは、多くを求めないことは、「清貧」と褒められることなのかもしれないけど、私には怠惰な井の中の蛙にしか見えません。住み慣れたぬるい世界にどっぷり浸ることを是とする人には、「もっと」を求める女の心は意地汚く映るのかもしれません。