成長続いた楽天、海外事業で減損の「誤算」 過去最高の売上高でも8年ぶり減益の理由

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楽天が海外での企業買収を積極化してきたのは、国内市場に頼っていては、成長の頭打ちがいずれ避けられないことを見越したものだったはずだ。しかし、中長期的な高成長を続けるために重ねた買収のペースは、やや性急に過ぎたのかもしれない。買収時から赤字が続く企業もあり、海外事業全体の収益力向上は、近年、大きな課題になっていた。今後、採算改善が進んでいない企業の中から、さらに減損対象が出ないとも限らない。

三木谷氏は会見で、「環境の変化による多少の浮き沈みはこれからもあるかと思うが、一歩先回りをして、勇気を持って踏み込んでいくことが大事だ」と述べた。競争が激化する国内で勝ち抜くと同時に、玉石混淆に見える海外事業を、どれだけ早く筋肉質にできるか。まさに三木谷氏の経営手腕が問われる局面だ。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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