【産業天気図・工作機械】受注は底ばう。各社の09年度計画に早くも黄信号

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 実際、日工会の7~9月受注見通しに関する会員アンケート(6月上旬実施)によると、4~6月に比べて「増える」との回答が16.7%、「保ち合い」が54.5%、「減る」が28.8%で、前回3月実施の4~6月見通し調査よりも「増える」(4.5%)と「保ち合い」(48.5%)の割合が高まった。15日発売の「会社四季報」夏号向けに取材した大半の上場メーカーも「新興国を中心に引き合いが増えている」と口をそろえており、少なくともキャンセル含みの最悪期は脱したと言ってよいかもしれない。
 
 しかし、仮にBRICsや産油国から回復が始まるとしても、自動車を牽引役とした、ここ数年のような高成長軌道への復帰は望めそうにない。「米国の回復が世界経済にとって一番大きなパワーとなるが、(ビッグスリーの経営不振や住宅問題などが解消しておらず)まだ厳しい状況が続く」と中村会長自身も指摘する。森精機製作所<6141>やオークマ<6103>、牧野フライス製作所<6135>などの大手は今期売上高について上期は前年同期比約6割減収/通期は約5割減収の計画を公表、すなわち下期に一定の持ち直しを見込んでいる訳だが、4~5月の受注難航を見る限り、ハードルは早くも高くなりつつあると言わざるを得ない。この3社を含め、多くの工作機械メーカーが今期は赤字を計画しているが、一段のダウンサイドリスクが浮上していることに留意しておくべきだろう。

(内田 史信)

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