【産業天気図・工作機械】受注は底ばう。各社の09年度計画に早くも黄信号
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
工作機械業界は「土砂降り」が続きそうだ。業界団体・日本工作機械工業会が17日まとめた5月の受注実績は前月比9.5%増の276億円。これは4カ月連続のプラスではあるが、前年同月比では79.2%減と相変わらずの激減モード。過去最悪の減少幅だった3月の85.2%を底として、4月の80.4%減に続き「5カ月ぶりに減少幅が70%台に戻った」(日工会)とはいえ、限りなく8割減に近い僅差の改善にとどまった。
5月受注を内外需別で見ると、内需は前月比1.1%増の123億円(前年同月比は77.6%減)、外需は前月比17.3%増の152億円(同80.4%減)。内需は一般機械、自動車、電気・精密の主要3業種が2ないし3カ月連続の前月比プラスとなったが、中小ユーザーが多い金型向けは逆にマイナスに転落。全体としては主に自動車のモデルチェンジ関連のスポット受注がプラスに効いた模様で、内需総体が増勢に転じたとは言い難い。
一方、外需の2ケタ改善は、東アジア(中韓台)が前月比11.1%減と後退したものの、欧州が47.1%増、北米も40.0%増と、ともに2カ月ぶりのプラスに転じたのが大きい。東アジアも、最大の輸出先・中国だけを見れば、景気刺激策の寄与で5.6%の小幅減にとどまった。ただ欧米の増加は航空機や自動車、一般機械のスポット案件が主因といい、外需も内需と同様、まだ方向性は定まっていない。
4、5月とも前年同月比8割減となり、今10年3月期の受注は極めて厳しい出足となったが、日工会の中村健一会長は「1~3月が大底で現状は底ばい。だがキャンセルが3月までに出尽くし、底割れの心配がない分、(暗い)トンネルの中の空気は軽くなっている」と回復の兆しを示唆する。堅調な中国のほか、最近の原油高で投資意欲が戻り始めた中東産油国やロシアも期待材料という。