日本の自動車メーカーが新興国戦略を加速  小型車強化や輸出拡大狙う

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ホンダの昨年の乗用車シェアは、インドネシアで3.5ポイント増の21.6%、タイで0.6ポイント増の26.1%となり、両国でトヨタに続く2位につけている。

小型車の「ジャズ」や「シティ」が好調なマレーシアでも外国車としてシェア首位の15.9%と2.7ポイント伸ばし、インドネシアでのシェアは2年前の倍以上になった。世界6極体制を敷き、各国の政策やニーズに合った車両を現地で開発してきた成果が実を結んだ格好だ。

インドネシアでは政府が低燃費で安価な環境対応車を普及させるため、LCGC(ローコストグリーンカー)政策を推し進めている。排気量などの基準を満たせば税優遇を受けられるため、需要が低迷する中でもLCGC対象車は伸びている。ホンダもこの政策に対応した小型車「ブリオ・サティヤ」の売れ行きが好調だ。同国で人気の高いMPV(多目的車)の「モビリオ」もヒットしている。

トヨタによるダイハツ完全子会社化の発表を受けて、ホンダの岩村哲夫副社長もインド、インドネシア、マレーシアなどが主戦場になるとし、「十二分に何が起きているかを把握しながら、必要な対応策を取る」と気を引き締める。

ベンチャーも新興国市場を目指す

日本のベンチャーも新興国市場を狙っている。13年設立のFOMM(フォム、神奈川県川崎市)はタイ政府の支援も受け、来秋からタイで超小型の電気自動車(EV)の生産・販売を計画。20代の若者を中心に販売拡大を狙う。その後はインドネシアやマレーシアでも展開したい考えだ。

スズキ出身でアラコ(現:トヨタ車体)を経て1人乗りEV「コムス」などを開発してきた鶴巻日出夫社長は「地球温暖化は急速に進んでおり、本来は車は増やしてはいけないが、増える地域はまだ多い。小型EVのような車が増えないと地球は滅ぶ。何年後になるかわからないが、いずれ小型車が世界では主流になる」と話している。

一方、米国勢はすでに規模縮小や撤退を余儀なくされている。米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>が昨年、売れ行き不振からタイでの一部車種の生産を停止したほか、インドネシアの工場を閉鎖。米フォード・モーター<F.N>も先月、同国からの撤退を発表した。

米調査会社フロスト&サリバンによれば、16年の新車販売はタイで前年比1.3%減の78万台、インドネシアで同4.3%減の96万9100台、マレーシアで1.4%減の約64万8000台と主要3カ国市場はいずれも落ち込む見通しで、各社の戦略は厳しい課題を抱えている。

(白木真紀 編集:北松克朗)

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