澤上篤人・さわかみ投信代表--ゼロ金利をやめれば経済は勝手に良くなる

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--ところで、滋賀県に自然と融合した移住村である「ヴィレッジ」を作ろうとしていますね。

人間としてもっといい生活をとことん模索しましょう、というのがヴィレッジだ。人間誰しも、自然があふれて、優しい人間がいっぱいいて、みんながおおらかに生活できればいいと思っている。最近、公園で子どもを一人で遊ばせることもできないが、ヴィレッジは全部公園だから道路もない。不便だけど歩くスピードで成り立つ生活空間を作ろうと。住宅も全部こちらで造って、外観や色、形状を絶対重視して調和のある町を作る。完全な職住接近だ。

俺たちは長期投資をやっている。ヴィレッジは長期投資の自然な延長線上にある。長期投資なかりせば、何もない。

では、なぜ長期投資なのか。ものすごくリサーチして、よい銘柄をいいタイミングで買って、いいとこ取りしようとすると、しんどい。そうではなくて、キャッシュを持っていて暴落したら買えばいい。そういう運用をずっと貫くと、結果的におカネはそこそこ増えるよね。長期投資のいいところは、複利効果がどこかで雪だるま式に利き出すこと。思い描く財産の目標がどこかで実現する。約束はできないが、俺は39年の経験で自信たっぷりだ。

--そういう例をいくつも見てきたと。

そこで終わらないのが長期投資。預貯金では体験できなかった財産の増え方が現実になる。そのおカネを抱え込んでいてはつまらない。おカネを動かさないと。

暴落のときに買うということは、経済の現場に放り込むということですよ。これは民間版景気対策になるよね。複利効果で増えたおカネをもう1回使うことで、二重の意味で経済拡大再生産に貢献するわけだ。そのときに自分の夢や意思を放り込めばいい。


さわかみ・あつと
1947年生まれ。愛知県出身。フランスの金融機関の駐日代表などを経て、99年にさわかみ投信を設立。銀行や証券会社の系列に属さない独立系の投信会社として異彩を放つ。

(週刊東洋経済)

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