サウジ、市場シェア維持の戦略は変えず 苦しい経済状況に陥る懸念
一方、政府は、安価な外国人労働者に代わり、民間部門でサウジ国民の採用を拡大させる措置を導入し、公共部門における雇用負担を軽減しようとしている。さらに、官僚主義の撤廃で民間部門の活性化を目指している。
民間部門の成長が国の歳出と密に関連していることを踏まえると、こうした策の成否がサウジの今後の経済や原油政策を左右する。
蓄えは大きい
ここ10年の多額の蓄えにより、サウジは当面は原油安の打撃を受けずに済むかもしれない。ただ、原油が値下がりし始めてから、中銀の外貨建て資産はネットで年間約1050億ドル減少している。
とはいえ、11月末時点ではまだ6280億ドルを記録しており、今後数年以内にエコノミストが危険と判断する水準にまで外貨準備が落ち込むことはなく、今後も通貨を下支えできる見通しだ。
2015年末時点の公的債務は、対国内総生産(GDP)比5.8%にとどまっている。これは、英国の89%やドイツの71%よりはるかに低い水準である。
国際通貨基金(IMF)はサウジの債務が2020年に対GDP比44%にまで拡大すると予想しているが、国際的な基準ではさほど高くない。
今後数年間、土地や鉱物資源などまだ活用されていない4000億ドル規模の資産が財政を支えるとみられる。その間政府は原油安を容認する戦略を続けることが可能だ。
(Angus McDowall記者、 Andrew Torchia記者、翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)
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