横浜傾きマンション、3社行政処分の重い意味 業界が抱える問題は山積している
一罰百戒。三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市のマンションが傾いた問題で、国土交通省は1月13日、建設業法に基づき、元請けの三井住友建設、杭打ち施工の1次下請けとなっていた日立ハイテクノロジーズ、2次下請けで杭打ち施工に直接関わった旭化成建材の3社に対して行政処分を下した。
国交省はこの3社に対して業務改善命令を出したほか、元請けの三井住友建設には国交省発注工事の1カ月間の指名停止、また日立ハイテクノロジーズには15日間の業務停止、旭化成建材については15日間の業務停止に加え、再発防止の勧告(杭打ちデータ流用が発覚したほか8社も含む)も行われた(業務停止の営業範囲は国交省・関東地方整備局管内)。
3社に対する行政処分は、主に元請け責任と下請けへの「丸投げ」(一括下請け)に対するもので、マンション傾斜問題そのものには踏み込んでいない。現在、再調査中ということもあり、原因が解明された場合は追加処分が下される可能性も残されている。
元請けの責任が果たされなかった
今回の処分で問題となったのは、三井住友建設から日立ハイテクノロジーズが杭打ち工事を請け負い、その工事現場に専任の主任技術者を置くことなく、かつ実質的に施工に関与することもなく、旭化成建材に請け負わせたことだ。
「丸投げ」行為をしたのは日立ハイテクノロジーズ、それを請け負ったのが旭化成建材である。三井住友建設はこの実態を認識しながら、下請けに対して指導も是正も、行政への通報もせず、「元請け」としての責任を果たしていなかった。
今回の処分は業績に大きな打撃を与えるものではないが、今後については予断を許さない状況だ。特に注目されるのは元請け責任が問われた三井住友建設だ。
今回仮に、直接、旭化成建材に杭打ち工事を請け負わせ、専任の主任技術者を置けば問題はなかったのかというと、そうではない。最も重要なことは、施工したマンションが傾斜した事実だ。その原因が杭打ち工事でなくとも、施工不良から不具合が生じれば、元請けの施工・管理責任は問われるということだ。
今回のケースでいえば、杭打ちを担当した主任技術者が支持層(強固な地盤)に届いていない杭を届いたものとして、意図的に杭打ちデータを流用・改ざんして元請けに報告していたとしても、結果として三井住友建設の責任は問われることになる。
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