初試算!満員電車の経済損失は年間3240億円 首都圏の通勤時遅延、ストレスを金銭換算

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満員電車や遅延によるストレスを金銭に換算するとどのくらい?(EKAIKI/PIXTA)

通勤ラッシュは日本の日常風景……といって済ませられるほどほほ笑ましいものではないのは、実際に通勤ラッシュを経験したことがある人なら誰もが同意することだろう。そのため、どの路線が混むかといった観点や、あるいはどの路線がよく遅延するかといった観点が、住む場所を選ぶ際に用いられることもある。

そのような日本の通勤事情であるが、それでも国土交通省によると日本の鉄道の輸送力は向上し続けており、混雑は緩和されてきているという。

東京五輪時に混雑で鉄道が止まる可能性がある

しかし、今後の日本の通勤ラッシュに大きな課題がないかというと、必ずしもそうとは言えなさそうだ。ご存じのとおり、2020年に東京オリンピックが開催されるからである。実際、専門家の間では東京オリンピックで国内外から訪れる92万人もの旅行客が乗換駅にあふれかえり、鉄道が止まる可能性すら指摘されている。

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すでに「永田町駅は要警戒」といった予測やうわさが飛び交う中、政府が休日特別法案や時差Biz、テレワーク・デイズの導入を推進し、東京都も「満員電車ゼロ」を掲げるなどのさまざまな動きが出てきている。都市機能の混乱がいよいよ現実の可能性として見えてきた中、関係各所が対応に走り回っている、といった格好だ。

実際に都市機能が混乱し機能しなくなった場合どうなるのだろうか。その未来を考える前に、まずは現在の時点でどれほどの経済損失が通勤ラッシュの遅延やストレスなどにより発生しているのかを、首都圏に絞って振り返っておこう。

満員電車による経済的損失は大まかに以下の4種類に分類できる。

1. 満員電車が引き起こす遅延による経済損失(電車は恒常的に遅延しているが直接的・間接的に混雑が影響を与えている場合がほとんどだ)
2. 満員電車の肉体的・精神的ストレスによる経済損失(通勤のストレスは仕事の生産性に悪影響を及ぼすことがある)
3. 満員電車で身動きがまったくできないことによる経済的損失(ラッシュの中でも特に混んでいる電車の場合、生産的な活動がまったくできなくなってしまう)
4. その他満員電車の影響による社会的経済損失
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