「教室のエアコン設置論」よりも重要なこと エアコンをつけるだけなら「非効率のまま」だ

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岩手県紫波町のオガールにあるバレーボール専用体育館。 夏は涼しく冬は東京の体育館より暖かい。その秘密はどこにあるのか(筆者提供)

今年も8月1日から「オガール祭り」というイベントが、岩手県紫波町で行われる(5日まで)。岩手と言っても、今年は連日30℃を超え、時に35℃前後にもなるほどの猛暑が続く。台風12号が列島を襲った7月末も、東京よりもよほど暑かったくらいだ。

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その紫波町は盛岡市からJRで南に約20分。人口は約3万人だが、都市と農村の新しい結びつきを創造する公民連携のまちづくり「オガールプロジェクト」で、今やすっかり有名だ。「補助金に頼らない地方創生のモデル」として全国から見学に訪れる人も多い。

だが、実はこの地域で夏は涼しく冬は暖かい「世界レベルの断熱効率」を誇る木造建築物がじわりと増えていることは、あまり知られていない。

オガールの体育館は夏涼しく、冬は東京よりも暖かい!

オガールプロジェクトの中にある建物はすべて高い断熱効率を誇る木造建築物だが、代表的な建物の1つであるバレーボール専用体育館で説明してみよう。もちろんエアコンがついており、夏も冬も快適な練習環境だが、何が違うのか。

やや専門的になるが、この体育館の断熱性能はまさに「半端ない」。グラスウール(ガラス繊維でできた綿状の素材)に換算して30cm分、さらに吸音材 が10cm程度もたっぷり入っている。また窓もほとんどない(そもそもバレーボールに外光はいらない。眩しいだけだ)のも手伝って、非常に良好な温熱環境なのだ。

とにかく冷房のエアコンも実によく効くし、冬季は逆に暖かい。岩手の内陸部は冬にマイナス10℃を下回ることもあるが、なんと、冬の朝のエアコンはバレー練習の準備に入る「アップ時」だけかければ十分なのだ。東京から遠征に来た選手は誰もが「東京の体育館よりも暖かい」と口にするという。

オガールベースの社長であり、自らバレーボールチームも指導している岡崎正信氏は「暖かいことはケガが少ないということ。選手にとって温熱の環境はとても大事」と言う。コートの床の素材も東京・北区のナショナルトレーニングセンターと同じ仕様のこの体育館は、特別な予算で作られたと思われがちだが、実は一般の公立学校のそれとあまり変わらない。かけるところにはかけ、省けることは徹底的に省く。まさにメリハリが本当に効いているのだ。

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