オカルトについてもまじめに研究されている--『脳には妙なクセがある』を書いた池谷裕二氏(脳研究者、東京大学大学院薬学系研究科准教授)に聞く

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──オカルトについても。

一昔前だと、科学と相容れないと全否定されたが、最近は「神を感じる脳回路」や催眠術がまじめに研究されている。幽体離脱は脳の角回という部位と関係があるとされ、一方、催眠の特徴は健忘であり人工認知症ともいえる。

──人には自由意志はないのですか。

経済の取引、たとえば株の判断でいえば、人は自分の意志で株を買うわけではない。8割以上が過去の経験と、それが反映している反射行動のクセによる。むしろそう考えたほうが、妙な自信過剰にならなくて済み、冷静な判断ができていいともいえそうだ。

──脳にはよい経験を積むことが大事とも。

そう、脳において世の中のことすべてで。「お勉強」を含め。

──しかし、知能向上にいわゆる知育は有効ではないとか。

IQ(知能指数)の高さは大脳皮質がポイント。人の場合、IQが高い人はそこが厚い。それも「前頭前野」と「後側頭葉」が決め手だとされる。ただし、図抜けた脳は、幼少から厚いわけではない。むしろ薄い。13歳までに一気に肥大化する。それも「生まれ」による。つまり遺伝で決まってしまう。

IQ関連の遺伝子は今や特定されている。もちろんIQだけでなく、いろいろな遺伝について遺伝子解析で調べられている。私自身も去年8000円ほど出して100万カ所調べてもらった。自分の性格や病気などいろいろなことがわかった。

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