トヨタ「シエンタ」が大ヒットした3つの理由

このコンパクトミニバンに時代が味方した

2代目シエンタの室内空間。初代よりも広さを増した

それだけに、初代よりもデザインが洗練され、室内にゆとりも生まれ、安全技術をはじめ最新装備が満載されただけでなく、ここ数年で一気に需要が拡大したHV仕様が設定された2代目シエンタに飛びついた消費者は多い。トヨタには固定客が多く、トヨタ車でコンパクトミニバンを求めていたユーザーは待ち望んでいたことだろう。最大のライバルであるフリードの新鮮味が逆に薄れてしまっているのも追い風といえる。

2つ目の理由は、この大きな需要を見越したトヨタが組み立てた緻密な販売戦略にある。それは、販売チャネルの拡大だ。初代シエンタがカローラ店専売だったのに対し、2代目はトヨタ店、トヨペット店、ネッツ店でも販売を始め、高級車ブランド「レクサス」を除くトヨタ4系列すべての取り扱いに変えた。

もちろん、初代シエンタからの乗り換え需要を考えるとカローラ店の販売力が最も強いが、ほかの販売店でトヨタのほかの車種に乗っていても、2代目シエンタのように運転しやすい大きさのボディで、最大7人が乗車でき、排気量の大きな車よりも燃費が良く、税金や保険などの維持費も安いコンパクトミニバンに目を向けるユーザーは少なくないようだ。

4系列併売の「プリウス」「アクア」は大ヒット

トヨタがレクサスを除く4系列すべてで売るモデルは「プリウス」「アクア」など、商品力の高さに強力な販売ネットワークが加わることで、大ヒットモデルになっている。あるトヨタ系ディーラーのセールスマンは、「トヨタの看板のお店へ行けば、トヨタ車ならなんでもご購入できると思われて、ご来店いただくお客様も目だっております。その意味では全チャンネル併売というのは、販売台数を増やすのには効果はありますね」と語る。

トヨタは今後発売する新規投入モデルや既存車種のフルモデルチェンジに併せて全店併売車種を拡充する方針で、シエンタはこの戦略が台数増へと狙い通りに結び付いた。トヨタも将来的には日産自動車やホンダなど、他の自動車メーカーのように販売チャネル統合も検討しているようだが、現時点では台数を確保したい車種を全店併売に、固定客の多い老舗モデルをチャネル専売として使い分けて利幅を確保する戦略を採っているようにみえる。トヨタらしい賢いやり方といえる。

3つ目の理由は、各種性能の向上、進化に伴って世界的に自動車のダウンサイジングが起きていることだ。以前に比べれば、小さな車であっても衝突安全性能は格段に増しているし、一部の高級車にしか付いていなかったような最新鋭の安全装備が小型車にもどんどん搭載されていっている。

エンジンの性能も上がっているし、モーターを併用するHVならエンジン排気量は小さくても1クラス上の車に遜色のない走行性能を発揮する。多人数乗車のモデルを望むとしても、決して排気量の大きな車だけが選択肢ではなくなってきている。

次ページ2代目シエンタの懸念とは?
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 実践!伝わる英語トレーニング
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 中原圭介の未来予想図
  • 貧困に喘ぐ女性の現実
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
沸騰! 再開発バトル<br>「不動産好況」はいつまで続く

東京をはじめ、地方都市でも活況が続く都市再開発。人口減少時代に過剰感はないのか。ベンチャーの聖地を争う東急・三井両不動産、再開発で「浮かんだ街・沈んだ街」、制度を巧みに使う地上げ最新手法など、多方面から街の表と裏の顔を探る。