日米同盟強化と対中関係改善は両立できるか

2016年は日本外交の構想力と実力が試される

日中関係は、2014年11月の歴史認識や尖閣諸島などをめぐる4項目の合意以来、それまでの「最悪」と言われた状態を脱して、何とか好転の軌道に乗った。木寺昌人駐中国大使は昨年末、毎日新聞とのインタビューで「(日中関係は)大変厳しい時期を脱して上り坂にある」との認識を示した。4項目合意以来、安倍晋三首相と習主席との首脳会談も計3回実現した。

日本側はもちろんだが、中国側にも関係改善に向けた意欲が鮮明に見て取れる。経済の減速と無関係ではないだろう。昨年で抗日戦争勝利70周年という、歴史的な大きな「負の節目」も超えた。今年は、中国で主要20カ国・地域(G20)首脳会議、日本で日中韓サミットがそれぞれ開催されることから、「双方にとって大きなチャンス」(木寺氏)との期待も出ている。

日本の外交は米中関係次第?

しかし、米側には「つまるところ日本外交は、米中関係だ」(ジェラルド・カーティス米コロンビア大教授)という見方がある。確かに、米中関係がギクシャクしたままでは、日本の対中関係改善は難しい。それにとどまらず北朝鮮問題、韓国や豪州、インド、東南アジア諸国、さらにはロシアとの関係前進も複雑になる。

半世紀近く日本の政治と外交を研究してきたカーティス氏は、最近の筆者とのインタビューで「日本にとっていかに対中関係をうまく舵取りするかのカギは、米国との同盟関係であり、同盟関係のカギは米国がどういう対中政策をとるかだ」と解説した。

米中関係改善の展望がなかなか開けないなか、日中関係だけが独立して好転しうるのか。安保法制と新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)で打ち出された同盟強化の方針と、対中関係改善を矛盾なく進めることができるのか。2016年は米中両国だけでなく、日本にとっても、外交の構想力と実行力を厳しく問われる年となりそうだ。

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