中国にやってくる北朝鮮労働者、高学歴で学習効率も高い アジア特報
「いらっしゃいませ」。吉林省長春市の中朝合弁によるレストラン。入口で客を迎える店員の胸には北朝鮮国旗のバッジがある。女性店員の李さんによると、規定で3年働くと帰国するという。彼女の話では、一緒に働いている二十数人の北朝鮮人同僚のほとんどがピョンヤン音楽大学の出身で、歌や踊りが得意だ。彼女たちは単独で外出することはできず、携帯電話の使用や恋愛は禁じられている。
「携帯電話が禁止なのは面倒なことが起こらないようにするためです」と李さん。記者が「どんな面倒ごと?」と聞くと、李さんは警戒して短く「よくないこと」とだけ答えた。携帯電話の番号を尋ねたり、別の連絡方法を聞いてくる客は多いという。そんなとき、李さんはいつも「もし会いたくなったらまたいらしてください」と言うことにしている。
このレストランでも中国人と北朝鮮人はほとんど接点がない。中国人従業員は、李さんたちの宿舎がどこにあるかも詳しくは知らない。
延辺大の金氏は「中国に来ている北朝鮮労働者は、高学歴で高い資質を持っており学習効率もいい。北朝鮮にとっては中国で働かせたほうが管理しやすい」と指摘する。
外貨稼ぎが目的 手元に残るのは4割
北朝鮮が労働者を大量に中国へ派遣するのは不足する外貨獲得が目的と、内外のメディアは分析している。
朝鮮日報によると、今回、中国に派遣される北朝鮮労働者の月給は、業界によって異なるものの、おおよそ1300~1900元(1・6万~2・4万円)だという。この給与水準は、現地政府が規定した中国人の最低賃金基準、月830元を上回っている。