LINEニュースが大手メディアを巻き込む狙い ニュースアプリの弱点を克服できるか

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――今後、どのようなメディアを取り込んでいきたいか。

地方紙や専門紙の参加を増やしたい。多くの地方紙や専門紙と交渉しているが、とても前向きな反応を得ている。世界情勢や全国区のニュースは当然、重要だが、たとえば建設業界の専門紙の公式アカウントがあれば、業界関係者が必要とする情報を的確に届けることができる。

サービス開始時には24のメディアが参加した(撮影:今井康一)

地方紙が地域住民に向けてLINEを通じてニュースを届けるのにも使える。LINEは人と人とのつながりを補完するサービスなので、大集団に向けたものだけでなく、小さな集団やつながりを活性化させる情報も同じように大切だと考えている。

デジタル戦略を担当する人員が手薄なメディアにも使ってもらえるように、技術的なサポートはできる限り手厚くしたい。

――LINEニュースは、メッセンジャーアプリ内で閲覧できるものと、専用のニュースアプリの双方で展開している。新しいサービスは、メッセンジャーアプリに紐づく形で、メディア各社が公式アカウントを設ける内容だ。今後、両アプリはどう棲み分けるのか。

現状は、ニュースアプリとまったく同じニュースを、メッセンジャーアプリの中でも提供している。ニュースアプリについて言えば、「やさしいニュース」を読むためだけに、アプリをダウンロードするまでの必要性を感じてもらえる状況を作れなかったことは事実。より便利に使ってもらえるように変えていく構想はあるが、まだこれから先の話になる。

LINEニュースとしての差別化策は?

――ニュースアプリはヤフーやグノシー、スマートニュースなどもあり、競争が激しい。LINEの場合、メッセンジャーアプリの中で新サービスを展開することが競合との差別化につながるのか。

その通りだ。ニュースアプリから1日に何回もプッシュ通知が来るのが煩わしいと感じている人は多いだろう。LINEの新サービスの場合、ユーザーが自ら選んだ好きなメディアからのプッシュ通知が送られる点で違いがある。

また、友人や家族のとのやり取りで頻繁に使うアプリなので、ニュースを読むためだけにアプリを開く煩わしさがないのも大きな差異だ。プッシュ通知でニュースを読み、ついでにメッセージを友人に送ることもできる。

――提携するメディアにはどのようなメリットがあるのか。ニュースがLINE内で読まれてしまうと、記事を掲載したメディアの元サイトに送客されず、メディアのブランド価値を高める趣旨に逆行するのではないか?

しまむら・たけし●LINE上級執行役員コマース・メディア担当。2004年7月、NHN Japan(現LINE)入社。検索・コミュニティ事業を担当。2007年11月、ネイバージャパン設立に伴い「NAVERまとめ」の責任者を務める。2012年1月、グループ3社の経営統合で執行役員/CPOに就任。2014年4月から現職
(撮影:今井康一)

各メディアの考え方によるが、LINEの公式アカウントを自社の媒体のように考えて欲しい。アプリに掲載する記事の提供を受ける代わりに、元サイトに送客するモデルの場合、どのメディアの記事を読んだか、読者はあまり意識していないはずだ。

新サービスは各社が自分たちで選んだニュースでプッシュ通知することができるし、今後は月額や記事別などの方式で、課金の導入についても各メディアとともに考えていく。

広告収入はLINEとメディアが50%ずつの折半で、読者が多いメディアの公式アカウントでは、広告単価が高くなるメリットもある。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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