「中身のない政策」と「口先介入」は効果なし

市場に伝わらなかった日銀の政策意図

市場で実際に取引しているものとしては、「大きな力」に逆らってはならないということを、経験で学んでいる。その大きな力とは、政府の政策であり、中央銀行の政策である。これこそが、「国是・国策に売りなし」である。彼らが本腰を入れて、新たな政策を導入する場合には、それに逆らわず、素直についていくのが賢明である。

そのため、ヘッジファンドは、FOMCやECB理事会、日銀金融政策決定会合などの重要な政策決定の場で出てくる政策を注視し、その内容を見極めた上でトレード戦略を組み立てる。フライング気味に先にポジションを作り、政策発表後の動きを利用して手仕舞う方向もあるが、筆者はそのようなやり方はせず、きわめてオーソドックスな方法でトレード戦略を組み立てている。そして、政策の内容よりも、むしろその政策を受けた市場動向を重視し、その動きについていくとの考えでトレードしている。

しかし、この方法には、絶対的な条件が付随する。それは、「その政策が正しいのであれば」という文言である。今回のECBや日銀が露呈したのは、「中身のない政策と口先介入は、まったく効果がない」という、政策の限界である。むしろ、市場に逆の効果を与えてしまうこともわかってしまった。これにより、今後のECBと日銀の政策への期待はできないだけでなく、彼らの政策そのものへの疑念がむしろ大きくなってしまっている。この代償はきわめて大きい。

金融当局の迷いは「売り」

FRBのイエレン議長は、夏場の市場が不安定な時期に、表舞台から一時姿を消した。それまで「年内利上げが妥当」と比較的強気な態度を示していたが、「チャイナ・ショック」を前後にFRB関係者の意見の齟齬が露呈し、FRBそのものが政策に関して一枚岩でないことも明るみになってしまった。しかし、その後の市場の落ち着きやイエレン議長自身の入念な根回しにより、最終的には12月のFOMCで全会一致での利上げにこぎつけることに成功した。

来年以降の利上げペースについては、今後も市場の最大の関心事であり続けるだろう。市場に対してFRBが明確な方向性を示せなければ、今回の日銀や前回のECBと同様に、市場を再び混乱に陥れるリスクがある。金融当局が迷っている中で、積極的な買いは難しい。少なくとも、現時点で日本株を積極的に買うことは、少なくとも金融政策面からは愚行ということになるだろう。

今後1週間(12月24日~12月30日)の日経平均株価のレンジは1万8500円~1万9150円を想定したい。繰り返すように、基本的には来年前半までは日本株は円高を背景に軟調に推移するとみている。また年末年始には急落リスクが高まる可能性がある。戻り売りを行いながら、引き続き上値を買わないことが肝要だろう。

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