あなたにも出来る!社労士合格体験記(第59回)--「賃金」「報酬」の概念に注意しよう
なお、細かい論点を補足すると、健康保険の日雇特例被保険者の「賃金」からは「3ヵ月を超える期間ごとに受けるもの」は除かれますが、「臨時に受けるもの」は含まれます。
ところが、労働保険徴収法ではこれらの区別はなく、「臨時に受けるもの」及び「3ヵ月を超える期間ごとに受けるもの」も全て賃金として、保険料の計算に含まれます。従って労働保険の一般保険料の額を計算するときは、原則、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額(1,000円未満の端数は切り捨て)に一般保険料率を乗じることになります。
賞与の届出と標準賞与額の上限
健康保険と厚生年金(船舶を除く)では、賞与が払われた月毎に5日以内に「賞与支払届」の提出が必要になります。注意が必要なのは、月ベースの扱いとなるため、同一月に2回以上に分けて賞与を支払った場合や、被保険者によって支払日が異なる場合は、その月の最後の支払を行った日から5日以内が提出期限となる点です。
また、年3回以内のボーナスの保険料は標準賞与額をもとに計算されますが、この標準賞与額もやはり月ベースで、1,000円未満は切り捨てて決定されます。ただし、上限は健康保険と厚生年金で考え方が違うので注意して下さい。
健康保険は年度の累計額540万円が上限で、上限を超えた部分は「零」とされます。ただし、転職等で健康保険組合管掌から全国健康保険協会管掌の事業所に転職した場合は、保険者が異なるため通算の対象外です。一方、厚生年金では月毎に150万円が上限となります。
具体的に過去問題でみると、例えば7月、12月、翌年3月にそれぞれ300万円、200万円、100万円の賞与を受けた場合、健康保険法では7月が300万円、12月が200万円、翌年3月は40万円が標準賞与額です。一方、厚生年金では7月が150万円、12月が150万円、翌年3月は100万円となります。
次回は、試験直前に函館のイベントです。
【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】
翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。Mr. MISU国際行政書士事務所、中央社労士オフィスみす開設。現在は、LEC講師として社労士「新合格講座」「人事労務基礎科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。(TOEIC 945点、中国語コミュニケーション能力検定TECC 883点、ハングル能力検定 準2級)。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら