「黄色い6000系電車」は、なぜ誕生したのか 西武鉄道「中の人」が明かす色へのこだわり
西武の電車はなぜ黄色なんでしょうか――。誰もがこんな疑問を感じているに違いない。
しかし、記録が残っていない。長持ちする色であるとか、西武秩父線開業に向けて101系がデビューしたため、秩父の緑に合う色として黄色にしたとか、色の由来については諸説あるものの、これだと確信できる理由にはまだ出会えていない。
その謎がいつか解明されるのを期待しつつも、黄色い電車が40年以上、沿線の人々に親しまれてきたという事実は変わらない。「黄色イコール西武鉄道」とイメージできるのは重要な価値であると考える。
さて、一言で6000系を黄色くするといっても、同じ6000系にもいろいろな仕様がある。今回黄色い電車に選んだ車両は側面がフラットで従来の車両のスタイルに近いアルミ車。初期の2000系と同様、戸袋窓のない編成を選定した。
その条件に合う編成は3編成しかない。うち1編成は車体広告のラッピングをすでにしている。残りの2編成は運行開始予定日の直前まで機器更新工事で工場に入っていた。なんとか調整してラッピング作業のスケジュールを確保することができた。
黄色い電車で重要なのは顔
電車運用のスケジュールにどう合わせてラッピング作業を実施するかも、企画を進める上で重要な点である。たとえば12月13日から池袋線と新宿線で各1編成走り始めた「100年アニバーサリーフォトコンテスト トレイン」には、運行期間内に長期の点検等が計画されていない最新の編成が充当された。
単に黄色くすればよいというものではない。「西武の黄色い電車」とは色だけでなく、形も重要な要素である。とはいえ、車両の形は変えられない。色だけで表現しなければならない。
西武の黄色い電車である要素とは何か。もっとも重要なのはその顔ともいうべき前面だ。西武線の電車はそのほとんどが左右対称である。一方、6000系は今までにない左右非対称のデザインである。そこで窓周辺を全て黒くすることで、左右非対称を打ち消した。
また、西武線の黄色い電車らしい要素として、前面に「銀のひげ」と呼ばれる銀色の板がついている。これは6000系の前面には、左右非対称の凹凸があり、見る角度によって直線であるべき部分が直線に見えないなど、本来のイメージを損ないかねない。検討はしたものの採用は見送った。
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