イラン紛争発インフレが日本を襲う最悪シナリオ/欧米が利上げに回帰しても取り残される日本に待ち受けること

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円高に誘導しても、エネルギー高騰の前には無力だという見解があるかもしれない。実際、日銀が利上げを進めても、現在の為替レートである1ドル=160円前後、1ユーロ=185円程度からの円安をどの程度、食い止めることができるかというところだろう。とはいえ、円安を放置し高インフレを許容すれば、国民の生活は窮する一方だ。

今般のイラン発のエネルギーショックがわれわれに問いかけているのは、日本が取りうる選択がもはや限られているという厳しい事実である。

メインシナリオのとおり、イランがホルムズ海峡の封鎖を短期のうちに諦め、事態が正常化に向かうなら、円安とエネルギー高のダブルパンチに対する懸念はひとまず後退し、杞憂に終わると期待される。

エネルギー高は蒸し返される恐れがある

しかし、短期で収束したところで、イランに安定した政権ができる可能性は極めて低い。むしろ死亡したアリー・ハメネイ師よりも過激な指導者が誕生し、イラン情勢が混迷を深める展開さえ意識される。

その場合、エネルギー高が蒸し返され、さらに長期化することになりかねない。そうなれば、また円安とのダブルパンチが懸念される。

円高に誘導できなくても、さらなる円安を回避するための利上げに日銀が踏み込めるかどうか——。そうした瀬戸際にある日本に、円安要因となる財政の拡張に取り組む余裕などない。

政府と日銀はどこまで円安を容認するのか。それでも、円安は望ましいとしてそれを放置するのか。それが改めて問われる局面に差し掛かったと言えるだろう。

土田 陽介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員

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つちだ ようすけ / Yosuke Tsuchida

2005年一橋大経卒、06年同修士課程修了。13年同博士課程単位取得退学。株式会社浜銀総合研究所を経て現職。 欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行う。主要経済誌への寄稿、学会誌への査読付き論文多数。著書は『基軸通貨‐ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)『ドル化とは何か‐日本で米ドルが使われる日』(ちくま新書)『脱炭素・脱ロシア時代のEV戦略 EU・中欧・ロシアの現場から』(分担執筆、文眞堂)。 関東学院大学経済学部非常勤講師。

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