ピケティ絶賛!格差解消の切り札はこれだ 平等な社会に向けた現実的なビジョン

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アトキンソンはきわめて正当にも、同じアプローチをイギリスにも導入しようと提案する。こうした改革は、一貫性をもって実施すれば不動産への累進課税の第一歩になるかもしれず、いずれは純資産(金融資産や負債を含む)への累進課税にもつながるかもしれない。この点で、イギリスの不動産取引課税(「印紙税」)はすでにかなり累進的で、過去数年でその度合いがさらに高まったことは驚きだ。

取引に支払われる印紙税率は、物件が12万5000ポンド以下なら0パーセント、12万5000ポンド~25万ポンドなら1パーセント、そしてその後25万~50万ポンドで3パーセント、50万~100万ポンドは4パーセント、100万~200万ポンドは5パーセント(これは2011年に導入された新税率だ)、200万ポンド以上の物件だと7パーセント(2012年に導入)だ。

労働党政権が導入した5パーセントの税率は、当初は保守党に強く批判されていたことは認識しておこう。だが保守党がその後政権につくと、7パーセントの税率を導入した。これは、不平等増大、特に富の上位層への集中と、不動産へのアクセス確保で若い世代が直面する厳しい課題というもっと大きな国民的状況のなかで、もっと累進的な課税システムの必要性は党派的な政治傾向を超えて感じられているということを明確にしている。これはまた、アトキンソンが主張しているように、不動産課税の全体的な仕組みをもっと一貫性をもって考え直す必要性をも示している。年次固定資産税が逆進的なのに、なぜ取引課税がこれほど急な累進性を示すべきなのかは理解しがたい。

イギリス、ヨーロッパ、世界

アトキンソンの行動計画に対して一つだけ批判ができるとすれば、それがあまりにイギリスにばかり専念しているということだ。その社会、財政、予算提案はすべてイギリス政府のために構想されており、国際問題に当てられる紙幅は比較的限られたものだ。

たとえば、彼は大規模多国籍企業への最低限課税という発想を一瞬採りあげるが、そうした税金の可能性は「検討すべきアイデア」の分類に追いやられ、しっかりした提案にはならない。ヨーロッパの税制競争や、タックスヘイブンの世界地図においてイギリスが果たす中心的な役割を考えれば、利潤に対する共通税制の確立提案や、金融証券の世界的な登録制度――あるいは少なくとも欧米だけでも――の開発といった提案をもっと前面に出してもよいと思われる。

アトキンソンは明らかにそうした問題に触れてはいるし、「世界税務当局」の創設や、国際開発援助をGDPの1パーセントに引き上げる可能性などについても扱っている。だがイギリスについての提案ほどの検討はされていない。

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