グローバル人事の「目」(第4回)--現地マネジメントに必要なコミュニケーション能力
◆英語力が物足りないのが前提
そもそも、多くの日本人は「英語力」に自信がない。日本人は実際に英語を使って海外の方とコミュニケーションを取る機会が少ないこともあり、英語でのやり取りに対する抵抗感や恥じらいが強い。ゆえに最初は海外の方と英語でコミュニケーションを取る成功を積ませながら「やれる感」を掴ませていく必要がある。
具体的には赴任後に担う業務に必要な「専門的な単語や言い回し」(テクニカルターム)から覚えさせる。頻繁に使う単語なのでまずはここから覚えていくと赴任者も安心する。テクニカルタームは一般的なものはWeb上に載っているが、実際の現場では違う言い方をするケースもあるので現地で活用するマニュアルや業界レポート等からピックアップして「生きた」単語を学べるようにする。
◆伝える基本、ソラ・アメ・カサ
海外でコミュニケーションを取るには「日本語」の順序で話しをしても意図通りには伝わらないことが多い。それは日本人独特の阿吽の呼吸がまだ職場に根差している上、日本語は「主語が欠落する」ことと「結論」が最後にくることもあり、単純に英訳しても意図が伝わらなくなるからである。海外ではプレゼンであろうが日常の指示であろうが、「論理的」に「正しく」伝えることが必須となる。英語でビジネス、特にマネジメントをするためには言葉でわかりあうことが肝となるのである。
論理の組み立ては、「ソラ・アメ・カサ」というマッキンゼー式の思考のフレームワークをもとに考えると早い。これは状況を捉えてその意味を解釈し、必要な対策を考えるプロセスを表現する方法だ。「「ソラ」:事実(空を見上げたら曇っていた)、「アメ」:仮説(雨が降るかもしれないなと思った)、「カサ」:対策(傘を持っていこう)